ヒナタカの雑食系映画論 第13回

映画『スラムダンク』で注目される「無音演出」。あえて“セリフなし”の無音シーンが重要な作品を厳選

大ヒット上映中のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』と同様に、「無音」のシーンが重要な映画をまとめました。聴覚障がい者の気持ちに寄り添うドラマ、ハラハラドキドキのサスペンスホラー、ジブリ映画などに分けて紹介します。

映画ライターが選ぶ、最高の「無音」はこれだ!

さまざまな「無音(セリフなし)」のシーンがある映画の例を挙げてみましたが、その中でも個人的なNo.1はこちらの映画でした。
 

■『コンタクト』


カール・セーガンのベストセラーを原作としたSFで、無音のシーンがあるのは「宇宙」を映す映画のオープニング。始めはカメラは地球のそばにあり、どんどんズームバックしていき、太陽系からさらに宇宙の果てまで映します。その間にはラジオの音声が聞こえているのですが、次第に音量は小さくなっていき、いつしか無音に。そして、その宇宙の旅は、とあるミニマムな場所へ行き着くのです。

まるで、宇宙のすべてを見た先の「無」を実感させるような映像表現そのものも圧巻ですが、終盤のとある展開と「対」になっているのもミソ。U-NEXTで見放題なので、ひとまずこのオープニングだけでも観てほしいです。

映画は、映像と同じくらいに音が重要な芸術であり娯楽。作り手が音楽や効果音にとことんこだわり、丁寧な音響の調整がされているからこそ、相対的にこれらの無音(セリフなし)のシーンの感動もあるのだと思い知らされます。これ以外の例も筆者のツイートのリプにたくさんいただいているので、ぜひ参考にしてみてください。

※各動画配信サービスの情報は執筆時(2023年1月30日現在)のものです。最新の内容をご確認ください。


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