ヒナタカの雑食系映画論 第13回

映画『スラムダンク』で注目される「無音演出」。あえて“セリフなし”の無音シーンが重要な作品を厳選

大ヒット上映中のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』と同様に、「無音」のシーンが重要な映画をまとめました。聴覚障がい者の気持ちに寄り添うドラマ、ハラハラドキドキのサスペンスホラー、ジブリ映画などに分けて紹介します。

無音になることで重要な事実に「ハッと気付かされる」映画って?

ここからは、先にも挙げたジブリ作品と同様に、ほんのわずかな時間だけ無音になることで、重要な事実を「ハッと気づかせる」、だからこそ鮮烈な印象を残した映画を紹介します。
 

■『ファースト・マン』


実在の宇宙飛行士であるニール・アームストロングが主人公のドラマです。「そこ」に降り立ったまさにその時、完全に無音になり、「彼だけの世界」が広がっているような演出になっていました。U-NEXTで見放題です。ちなみに、同じくデイミアン・チャゼル監督作の『セッション』のラストでは……(未見の人のために詳細は秘密)。
 

■『トガニ 幼き瞳の告発』

 
聴覚障がいを持つ児童への性的虐待という、痛ましいやおぞましいという言葉でも足りない実際の事件を元にしたドラマです。無音が生かされているのは終盤の「裁判」の場面。被害者の少女の主観での無音の演出に、身震いがするようなカタルシスがありました。Amazonプライム・ビデオで見放題です。
 

■『恋は光』


同名のコミックを原作とした、4人の大学生が「恋愛哲学」を語り合う物語。それぞれの恋模様がとってもかわいらしくてニヤニヤ、そしてもどかしくもなってしまいます。だからこそあることが「分かってしまう」場面での無音の演出が、これ以上なく尊いものに。いずれのサービスでも見放題になっていませんが、配信レンタルができます。
   

※各動画配信サービスの情報は執筆時(2023年1月30日現在)のものです。最新の内容をご確認ください。


>次のページ:エンドロールが無音だった「あの映画」とは

 
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