「理系女子志望」は本当に増えているのか?
大手予備校の駿台予備学校(駿台)と大手教育企業のベネッセコーポレーション(ベネッセ)が行っている「大学入学共通テスト模試」は、約37万人が受験している日本最大の模試ともいわれています。ここでは点数の学力を測るだけでなく、どの学部を志望するかというアンケート調査も行われています。私立大学は併願が多く解釈が複雑になるため、より第一志望の意向が正確に表れる国公立大学(前期)の志望データを見てみます。
それによると、2016年度に国公立大学を志望する模試受験者のうち、女子で理学部を志望するのは3.2%でしたが、2025年度には3.8%になっています。工学部でも、7.8%から9.8%となっています。
しかし、共通テスト模試を実施している駿台の入試情報室の城田高士室長は、「急激に伸びるのか、判断は難しいところです」と全面的には肯定しかねるといった表情で言います。城田室長が続けます。
「女子大の理工系学部が増えれば、女子の選択肢は広がります。しかし、選択肢が広がることと、実際にそれを選ぶかどうかは別問題です」
理系不足に悩む産業界が歓迎する以上、「理系=就職に有利」という強みが女子の志望動機になりそうですが、城田室長は次のように指摘します。
「景気が悪くなり就職不安が強まると理工系志望が増える傾向は過去にもありました。近年の女子の理系志望増も、コロナ禍による一時的な就職不安が背景にあったと考えています」
しかし、コロナ禍の影響が薄れ、深刻な人手不足が続く現在、文系でも十分に就職できます。就職不安が和らいでいる以上、今後も理系女子が増え続けると予測するのは難しいのが現実です。
目標倍増の前にやるべき「固定観念」の払拭(ふっしょく)
理系女子が増えると楽観できないもう1つの理由として、城田室長は「固定観念」を挙げます。「女子は国語や英語が得意で数学は苦手」という思い込みは根強く、今なお多くの女子が文系を選択しているのが現状です。理工系女子を増やすには、この固定観念を覆す必要があります。しかし、世間の意識をそう簡単に変えられないのが現実です。周りの女子が文系を選ぶのが当たり前という環境があれば、同じ選択をしてしまうのも無理はないでしょう。
理系学部出身でなければ就職できないという状況になれば、「無理してでも理系に進学しなくては」となるのでしょうが、城田室長も指摘するように、今はそうした状況になっていません。



