
『ぶぶ漬けどうどす』6月6日(金)テアトル新宿他全国ロードショー 配給:東京テアトル (C) 2025「ぶぶ漬けどうどす」製作委員会
『きさらぎ駅 Re:』6月13日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、イオンシネマほか全国ロードショー 配給:イオンエンターテイメント (C) 2025「きさらぎ駅 Re:」製作委員会
1:『見える子ちゃん』6月6日公開
同名漫画の映画化作品で、「霊が見えているのに見えないふりをする」女子高生役の原菜乃華がとにかく健気で、応援したくなるはず。ちょっと怖いシーンもありつつ、ギクシャクしたコミュニケーションにクスッと笑えたりもする「ホラーコメディー」であり、友情を育む様も丹念に描かれる青春劇にもなっています。
今回の映画では、原作の2巻に登場する「おばけ屋敷」のシーンに着想を得た「学園祭の準備」を物語の主軸としており、映画オリジナルキャラクターの「生徒会長(山下幸輝)」の存在も重要でした。そして、現代のSNS時代においてより身近になった、「スルー」や「無視」という行為をテーマにした寓話(ぐうわ)ともいえますし、その先には意外な感動もある物語に仕上がっています。

2:『ぶぶ漬けどうどす』6月6日公開
本作のタイトルは「早く帰ってほしいお客に対して本心を隠して遠回しに言う」ことを意味する京都の言葉。ジャンルは「シニカルコメディー」と銘打たれており、なるほど「本音と建前」を使い分ける京都の特徴を扱っているんだなと思いきや……「暴走する主人公がめちゃくちゃ怖い」作品でもありました。
何しろフリーライターの主人公は、コミックエッセイの取材中に、「京都愛」が強すぎるあまり、許可も取らずにテレビで受け売りの情報を語ったり、言動がどんどん過激になり、しまいには自分に合わない人物を“敵”と見なしてしまうのです。「ある価値観が正しいと決めつけて、それ以外のことに排他的になってしまう」様は、誰もが気をつけなければいけない反面教師でもありました。

3:『きさらぎ駅 Re:』6月13日公開
人気の都市伝説「きさらぎ駅」を題材とした、2022年公開のホラー映画の続編です。物語の舞台は前作から3年後。異世界であるきさらぎ駅から生還した女性は、ある理由から世間の冷たい視線や疑いの目にさらされながらも、自分を助けてくれた人々を救うため、再びきさらぎ駅へと向かいます。意外にも「SNS時代の誹謗中傷と偏見」に向き合った内容にもなっているのです。
前作で起こったことは簡潔に説明されますし、本作から見ても内容は把握できると思いますが、それでも前作を事前に鑑賞しておくことを強くおすすめします。なぜなら、「前作の経験を踏まえての異世界攻略」が主眼とも言えるから。一種の「ループもの」でもあり、このジャンルは得てして「繰り返し同じ場面で学ぶ」過程から「テレビゲームっぽさ」を感じるものですが、今回はその魅力が大いにレベルアップしていました。
