
本作はアクション映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの8作目。第1作が公開されたのは1996年で、29年の時を経ての「集大成」となる作品です。
ありがとう、トム・クルーズ!
結論から申し上げれば、「トム・クルーズという超大スターと共に今この世で生きていること」への感謝でいっぱいになる作品でした。シリーズを追いかけてきた人は特にリアルタイムで、この「ファイナル」を見届けることをおすすめします。ただし、上映時間が2時間49分と、長尺であることにはご注意を。後述するように、その長さには必然性があると思える一方、確実に賛否も呼ぶ理由にもなっています。しかし、それでこその映画館のスクリーンで「どっしりと腰を据えて見る」ことに喜びを覚える内容でもあると思います。
先行公開期間中の現在、本編を見た人からはトム・クルーズへの感謝の言葉が相次いでおり、レビューサイトのFilmarksで4.2点、映画.comで4.1点と高得点をマークしています(5月19日現在)。否定的な意見はあれど、絶賛の数は圧倒的でもあり、「歴史的な映画」としてこれからも語られることでしょう。
そのほか、本編のネタバレにならない範囲で、本作を見る前に知ってほしいことをまとめてみましょう。何も知りたくないという人は、先に劇場へ足を運んでください。
前置き:ムビチケは、先行上映中も販売中!
まず、映画の内容と関係ないことで恐縮ですが、本作のムビチケ(カード券/オンライン券)は22日まで発売中で、先行公開中に買って使うことができます。おトクに見たい人は、予約の前に購入しておくといいでしょう。今回の先行上映は「公開日が早まったことと何が違うの?」と疑問に思ってしまう部分もありますが、「通常は上映が始まると買えなくなるムビチケ(前売り券)を買って使うことができる」のは観客にとってのメリットです。
ただし、劇場で買える物理的なカード券は「購入の翌日から使用可能」となっているのでご注意ください。また、パンフレットの販売は、本公開の23日からとなっています。
そして、22日までの先行上映中は、本編直前にトム・クルーズからの、日本のファンに向けてのメッセージ映像も上映されます(※IMAX版を除く)。こちらも見逃さないほうがいいでしょう。
1:シリーズの予習は必要? 主人公イーサンの「初期に立ち戻る」作品に
本作は2023年公開の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』に続く「PART TWO」のような立ち位置です。その間にはしっかりとした「区切り」が付けられているものの、実質的に「2部作の後編」であるため、可能であればそちらだけでも見ておいたほうがいいでしょう。
しかも、今回の『ファイナル・レコニング』は、過去のシリーズの出来事の回想が「映像」として流れたりもするので「こういうこと、あったあった!」と記憶を掘り起こせます。過去作の内容をあまり覚えていないという人も、無理に見直さなくても大丈夫です。

主演のトム・クルーズ自身が「このシリーズは全作品にまたがるものなので、観客はイーサンの初期に立ち戻り、彼を違う形で理解することになる」と語っていることもその根拠です。
今回のイーサンは「今までの彼らしさ」がありながらも、「これまでとは異なる一面」を見せるため、彼に思い入れがあればあるほど、時には不安になり、時には心から応援したくなり、時には後述する物語およびトム・クルーズ自身に漂う哀愁をも、より良い意味で感じられると思います。
2:『トップガン:マーヴェリック』との共通点も
トム・クルーズ主演・制作の伝説的アクション映画の最新作ということで、多くの人が連想するのは『トップガン:マーヴェリック』でしょう。同作と今回の『ミッション:インポッシブル』には、そのほかにも符合するところがあります。実際に5作目の『ローグ・ネイション』から8作目である本作までの監督を務めたクリストファー・マッカリーは、『トップガン マーヴェリック』でも脚本と制作に関わっており、「私たちは、『トップガン マーヴェリック』で学んだ全てのことを、この映画に取り入れました。どちらの映画においても、私たちは、観客に観たことがないものを提供したかったのです」とも語っています。
その「観たことがないもの」というのは、言わずもがな、後述するアクションのことでしょう。そして、「学んだことを取り入れたこと」の1つに「1作目のキャラクターが長い時を経て再登場する」場面もあると思えます。
1作目で任務の監督役だった「キトリッジ(ヘンリー・ツェニー)」が、前作『デッド・レコニング』から引き続き登場し、主人公への対応はかなり異なるものの、『トップガン マーヴェリック』の「アイスマン(ヴァル・キルマー)」に重なる印象もありました。
さらに、1作目から最新作まで長い時間が流れたことで、『トップガン』の主人公ピート・ミッチェルにも、『ミッション・インポッシブル』の主人公イーサン・ハントにも、演じているトム・クルーズ自身が年を重ねたことも相まって、やはり「あの頃と変わらないようで」「でも少し違った魅力」を感じられるようになっていると思うのです。
