ヒナタカの雑食系映画論 第168回

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』を見る前に知りたい5つのこと。賛否の理由は?

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は、「トム・クルーズ、ありがとう」という感謝でいっぱいになる内容でした。5つのポイントから内容を称賛しましょう。(サムネイル画像出典:(C) 2025 PARAMOUNT PICTURES.)

ミッション
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』 5月17日(土)~22日(木)先行上映、5月23日(金)公開 配給:東和ピクチャーズ (C) 2025 PARAMOUNT PICTURES.
5月23日より『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』が本公開となります。公開に先立ち、5月17日から22日までの6日間にわたって先行上映を実施中です。

本作はアクション映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの8作目。第1作が公開されたのは1996年で、29年の時を経ての「集大成」となる作品です。

ありがとう、トム・クルーズ!

結論から申し上げれば、「トム・クルーズという超大スターと共に今この世で生きていること」への感謝でいっぱいになる作品でした。シリーズを追いかけてきた人は特にリアルタイムで、この「ファイナル」を見届けることをおすすめします。

ただし、上映時間が2時間49分と、長尺であることにはご注意を。後述するように、その長さには必然性があると思える一方、確実に賛否も呼ぶ理由にもなっています。しかし、それでこその映画館のスクリーンで「どっしりと腰を据えて見る」ことに喜びを覚える内容でもあると思います。
 

先行公開期間中の現在、本編を見た人からはトム・クルーズへの感謝の言葉が相次いでおり、レビューサイトのFilmarksで4.2点、映画.comで4.1点と高得点をマークしています(5月19日現在)。否定的な意見はあれど、絶賛の数は圧倒的でもあり、「歴史的な映画」としてこれからも語られることでしょう。

そのほか、本編のネタバレにならない範囲で、本作を見る前に知ってほしいことをまとめてみましょう。何も知りたくないという人は、先に劇場へ足を運んでください。

前置き:ムビチケは、先行上映中も販売中!

まず、映画の内容と関係ないことで恐縮ですが、本作のムビチケ(カード券/オンライン券)は22日まで発売中で、先行公開中に買って使うことができます。おトクに見たい人は、予約の前に購入しておくといいでしょう。

今回の先行上映は「公開日が早まったことと何が違うの?」と疑問に思ってしまう部分もありますが、「通常は上映が始まると買えなくなるムビチケ(前売り券)を買って使うことができる」のは観客にとってのメリットです。

ただし、劇場で買える物理的なカード券は「購入の翌日から使用可能」となっているのでご注意ください。また、パンフレットの販売は、本公開の23日からとなっています。

そして、22日までの先行上映中は、本編直前にトム・クルーズからの、日本のファンに向けてのメッセージ映像も上映されます(※IMAX版を除く)。こちらも見逃さないほうがいいでしょう。

1:シリーズの予習は必要? 主人公イーサンの「初期に立ち戻る」作品に

本作は2023年公開の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』に続く「PART TWO」のような立ち位置です。その間にはしっかりとした「区切り」が付けられているものの、実質的に「2部作の後編」であるため、可能であればそちらだけでも見ておいたほうがいいでしょう。
ミッション
(C) 2025 PARAMOUNT PICTURES.
また、過去作を見ていない人が、今回いきなり劇場へ行っても大丈夫なのかという点ですが……直近では『サンダーボルツ*』がそうだったように、シリーズを初めて見るという人にとっても十分に内容を把握できるようにはなっています。大筋の物語は「世界の滅亡を救おうとする」シンプルなものですし、何よりアクションの大見せ場こそが主たる魅力でもあるからです。

しかも、今回の『ファイナル・レコニング』は、過去のシリーズの出来事の回想が「映像」として流れたりもするので「こういうこと、あったあった!」と記憶を掘り起こせます。過去作の内容をあまり覚えていないという人も、無理に見直さなくても大丈夫です。
ミッション
(C) 2025 PARAMOUNT PICTURES.
とはいえ、本作は可能であればシリーズを1回でも追っておくのがおすすめで、特に1作目は事前に見ておいたほうが良いでしょう。なぜなら、主人公のイーサン・ハント(=トム・クルーズ)の「これまで」を振り返るような内容であり、彼のことを知っておくと「感慨深さ」があるからです。

主演のトム・クルーズ自身が「このシリーズは全作品にまたがるものなので、観客はイーサンの初期に立ち戻り、彼を違う形で理解することになる」と語っていることもその根拠です。

今回のイーサンは「今までの彼らしさ」がありながらも、「これまでとは異なる一面」を見せるため、彼に思い入れがあればあるほど、時には不安になり、時には心から応援したくなり、時には後述する物語およびトム・クルーズ自身に漂う哀愁をも、より良い意味で感じられると思います。

2:『トップガン:マーヴェリック』との共通点も

トム・クルーズ主演・制作の伝説的アクション映画の最新作ということで、多くの人が連想するのは『トップガン:マーヴェリック』でしょう。同作と今回の『ミッション:インポッシブル』には、そのほかにも符合するところがあります。
 

実際に5作目の『ローグ・ネイション』から8作目である本作までの監督を務めたクリストファー・マッカリーは、『トップガン マーヴェリック』でも脚本と制作に関わっており、「私たちは、『トップガン マーヴェリック』で学んだ全てのことを、この映画に取り入れました。どちらの映画においても、私たちは、観客に観たことがないものを提供したかったのです」とも語っています。

その「観たことがないもの」というのは、言わずもがな、後述するアクションのことでしょう。そして、「学んだことを取り入れたこと」の1つに「1作目のキャラクターが長い時を経て再登場する」場面もあると思えます。

1作目で任務の監督役だった「キトリッジ(ヘンリー・ツェニー)」が、前作『デッド・レコニング』から引き続き登場し、主人公への対応はかなり異なるものの、『トップガン マーヴェリック』の「アイスマン(ヴァル・キルマー)」に重なる印象もありました。

さらに、1作目から最新作まで長い時間が流れたことで、『トップガン』の主人公ピート・ミッチェルにも、『ミッション・インポッシブル』の主人公イーサン・ハントにも、演じているトム・クルーズ自身が年を重ねたことも相まって、やはり「あの頃と変わらないようで」「でも少し違った魅力」を感じられるようになっていると思うのです。
ミッション
(C) 2025 PARAMOUNT PICTURES.
さらに、1作目から全作にわたって登場する「ルーサー・スティッケル(ヴィング・レイムス)」や、3作目から登場し、イーサンの盟友となった「ベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)といった仲間、そのほかのキャラクターも、彼らの「それまで」を知ってこそ、より深い思い入れができるでしょう。それもまた、「できれば1作目から見ておいたほうがいい」大きな理由です。
次ページ
「狂気」がトム・クルーズ自身に重なる
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    “恋愛にならない”男女の友情映画の決定版、『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』を見てほしい5つの理由

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    内祝いの“半返し”にモヤモヤ……最初から半額でよくないですか? 海外にもお返し文化ありますか?

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    【2025年6月引退】さよなら、カシオペア! 豪華寝台特急の思い出を懐かしの写真とともに振り返る

  • ここがヘンだよ、ニッポン企業

    利用者増加はもはや既定路線? 退職代行サービスが「当たり前」になった未来の日本で起きること