
本作はアメリカンコミックのヒーローが同一世界で活躍する「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)」の1つ。「フェーズ4」以降のMCU作品はやや厳しめの評価も寄せられることもあり、Disney+(ディズニープラス)で配信のドラマも含めて作品数が膨大なため、追いかけるモチベーションが下がってしまった、という人もいるでしょう。
しかし、今回の『サンダーボルツ*』はアメリカの批評サービスのRotten Tomatoesで批評家支持率が89%に観客満足度も95%と、シリーズでもトップクラスの高評価(5月上旬現在)。しかも後述する理由で、予備知識がなくても楽しめると断言できますし、実際の本編を見ても「とにかく面白いから見て」とシンプルに大推薦できるのです。
それでも「ほかの作品を見ていないけど大丈夫?」と不安に思っている人のために、大きなネタバレにならない範囲で、見る前に知ってほしいポイントを5つに分けて紹介しましょう。何1つ知らずに見たいという人は、先に劇場へと駆けつけてください。
1:「1作だけ予習」は『ブラック・ウィドウ』がおすすめ
後述しますが、本作のメインキャラクターたちは、MCU作品それぞれに登場していた「過去に傷を持つアウトローたち」です。中でも本作と最も密接に絡んでいる映画は、2021年公開の『ブラック・ウィドウ』でしょう。今回の『サンダーボルツ*』の実質的な主人公である「エレーナ」は、ヒーローチーム「アベンジャーズ」の紅一点「ブラック・ウィドウ(ナターシャ・ロマノフ)」の妹です。映画『ブラック・ウィドウ』を見ていると、今回のエレーナの「空虚」な気持ちにより同調しやすくなるかもしれません。
あえて1作品だけでも予習のために見ておきたいのであれば、『ブラック・ウィドウ』だけでも十分でしょう。
2:ちゃんと「類推」できるようになっている
本作を見ると必然的に2019年の『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレになるのでそちらもできれば事前に見てほしくなり、ほかにもこのキャラクターはこの作品でこういう立場で……と説明したくもなってしまうのですが、そうした気持ちは「エゴ」なのかもしれません。どのシリーズ作品でも、ファンはついつい「最大限に楽しむにはこの作品を見ておいたほうがよくて……」などと「予習の必要性」を訴えたくもなりますし、それはもちろん親切心や作品への愛情があってこそ。実際に予習しておけばさらに楽しめるとも思うのですが、大抵は何も知らずに見ても「類推できる」ようになっているものです。

筆者自身もDisney+で配信中の2021年のドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』を未見だったり、4年前に見た『ブラック・ウィドウ』の内容をほとんど覚えていなかったりもしましたが、それでも問題なく楽しめました。繰り返しますが、この『サンダーボルツ*』は「予習はしなくても大丈夫」と断言します。
※以下、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレに触れています。