ヒナタカの雑食系映画論 第168回

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』を見る前に知りたい5つのこと。賛否の理由は?

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は、「トム・クルーズ、ありがとう」という感謝でいっぱいになる内容でした。5つのポイントから内容を称賛しましょう。(サムネイル画像出典:(C) 2025 PARAMOUNT PICTURES.)

5:トム・クルーズのアクションはやっぱり「見たことがない」

長々とシリーズの立ち位置や作風について語ってきましたが、それでもやはり本作はアクション映画。「トム・クルーズ……あなたやっぱりすごすぎるよ!」となれること、これまでたくさんの映画作品が作られてなお、「見たことがないものが見られる」のが一番の魅力でしょう。

今回の大きな見せ場は2つ。そのうちの1つが「潜水艦内」の大掛かりなアクション。閉塞的かつ「水浸し」な場所での恐怖感や没入観は、「劇場でこそ体感できる」ものでした。
ミッション
(C) 2025 PARAMOUNT PICTURES.
5作目『ローグ・ネイション』での水中シーンも印象に残りましたが、今回のトム・クルーズは深い水中に1時間15分も潜らなければならなかったのだとか。マスクを装着しているので酸素の量は制限され、低酸素症が起きないか、スタッフは常に心配していたそうです。

さらに、ビジュアルとして大きく打ち出されている「飛行機上」のアクションの撮影には、なんと4カ月半がかかったそう。その前にも、トム・クルーズ自身やスタッフがイメージを膨らませる時期、リハーサル、トレーニング、テストをした期間も設けられたが報われる――まさにマッカリー監督の言う「観客が見たことがないもの」でした。
ミッション
(C) 2025 PARAMOUNT PICTURES.
こちらも、観客すら思わずトム・クルーズ自身を心配してしまうほどに挑戦的なシーンであり、「空中」での「広がり」を感じさせる画は、スクリーンで映えまくるものでした

今回はアクションシーンにおいて、イーサンがほとんどしゃべらないことも印象的。それこそ言葉ではなく画で語る映画の原初的な喜びに立ち会っているようでもありましたし、トム・クルーズ自身が文字通りに、その身を持って観客に最大限のサービスを提供してくれることに感動がありました。

それらも含めて、本作は「劇場でリアルタイムで見て良かった」「トム、ありがとう」と、やはり感慨や感謝でいっぱいになる内容だと思うのです。

おばあちゃん版ミッション・インポッシブルもぜひチェックを!

最後に、本作を見た人にぜひおすすめしたい映画も紹介しましょう。それは、6月6日公開『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』。主演は『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』のジューン・スキッブです。
 

詐欺にあったおばあちゃん自らが、犯人への復讐を目指し冒険に出るという内容。『ビーキーパー』であればジェイソン・ステイサムが「無双」するところですが、本作は93歳の女性による危なっかしい復讐劇。アクシデントも相まってハラハラドキドキしつつ、彼女のことが大好きな孫の青年や家族との関係にもほっこりする、大笑いして優しい気持ちになれる、誰にでもおすすめできるコメディードラマになっていました。

劇中でおばあちゃんが、はっきりとトム・クルーズおよび『ミッション・インポッシブル』に背中を押されていることも重要ですし、ジョシュ・マーゴリン監督による実体験を基にしていることも特徴です。数年前、当時103歳だった祖母テルマさんが詐欺の電話にだまされそうになり、監督も“保釈金”として何千ドルも振り込みそうになったのだとか。

トム・クルーズへのリスペクトにあふれ、何よりアクション映画としても面白い『テルマがゆく!』も、『ファイナル・レコニング』と併せてご覧になってください。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
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