ヒナタカの雑食系映画論 第60回

2023年の「日本アニメ映画ベスト10」をランキング化してみた。年末年始は映画館で1位と4位を見てほしい

2023年は、日本のアニメ映画の歴史的傑作が続々と誕生した、すごい1年でした。そのベスト10を紹介しましょう。※画像出典:(C) 2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C) 2013 石塚真一/小学館

4位:『屋根裏のラジャー』

児童向けファンタジーでよく取り上げられる題材「イマジナリーフレンド」の意義を究極的に問い直したかのような、王道のジュブナイル冒険ものです。人間たちが知らない世界をのぞき見る感覚は『トイ・ストーリー』的でもありますし、主人公が子どもたちのために「仕事」をする様は『モンスターズ・インク』もほうふつとさせるなど、ピクサー作品ファンにも響く内容でしょう。邪悪な敵から逃げ惑うハラハラドキドキ、「そばにいる者」とのロジカルなバトルが展開する様は漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)も思い出しました。

アニメの表現としても革新的で、作り手の膨大な労力が報われてほしいと心から願えますし、かつて子どもだった大人に響くメッセージが込められている、素晴らしい作品なのですが……残念なことに、この冬に話題作(特にファミリー向け映画)が数多く公開された影響もあり、動員は大苦戦どころではない、とても気の毒な状態となっています。この年末年始でも上映回数は少なくなっていますが、こだわり抜かれた音楽や音響、「陰影」を含め丹念に描ききった映像美はスクリーンで見てこそのものなので、ここにあげたラインアップの中でも最優先で見てほしいと、本気でお願いします。また、敵側のキャラクター「黒髪の少女」がめちゃくちゃ魅力的ですよ!

【関連記事】『屋根裏のラジャー』が「ジブリの先」に到達した理由。ポノックによる「新しいアニメ表現」への意欲作

3位:『BLUE GIANT』

同名の人気コミックを映画化した作品で、全編の約4分の1を占めているライブシーンに、文字通りに圧倒される内容です。作り手の「魂」を込めたかのような、現実から拡張されたようなアニメの表現と、本物さながらの演奏時の動きが組み合わさり、もはや異次元とさえ思える躍動感を生み出していました。

物語は「3人の青年がバンドを組む」という誰にでも分かりやすいもの。それぞれの成長を追い、そのバンド活動の「終わり」も示唆しつつ、「二度とないこの瞬間を全力で鳴らせ」のキャッチコピー通りの、かけがえのない青春を目の当たりにできる感動は、何にも変え難いものでした。家で鑑賞する際は、より良いスピーカーやより大きなモニターを用意し、できる限り劇場に近いで環境で見ることをおすすめします。
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