9:最終回直前での“超大盛り上がり”
第2期、特に第22〜23話にかけては「これぞガンダム」「ガンダムあるある」と言ってもいい、往年のファンがかつてのシリーズを思い出す展開が詰め込まれていたため、ガンダムファンは喜び、ガンダム初心者も大興奮。さらには、その「ガンダムあるある」を覆す展開が訪れ、SNS上には、第23話のMVPと評されたキャラクターへの賞賛の声とファンアートがたくさん届けられました。
多くの視聴者の度肝を抜いたのは、次回予告で最終回のタイトルが「最終回」と書かれていたこと。これは本編の内容をまったく予想させないためなのか、本編でまた違うタイトルが用意されるのか……ということも議論を読んでいます。6月28日より公式Twitterでは期間限定で、特定のハッシュタグの後ろにスレッタの絵文字が追加されることも知らされており、最終回でのSNSの盛り上がりは過去最高になることでしょう。
10:アニメ脚本家の大河内一楼の力
『水星の魔女』がここまでの盛り上がりを見せたのは、「地獄の一級建築士」と呼ばれるアニメ脚本家の大河内一楼の力が特に大きかったからなのではないでしょうか。
かつては『プラネテス』(NHK)で、原作漫画から逸脱した展開がありながら賞賛を受けていましたし、同じく学園&戦争ものである『コードギアス 反逆のルルーシュ』(MBS/TBS系ほか)では、第22話の「血染め の ユフィ」で多くの視聴者を絶望へと叩き落としていました。
『水星の魔女』では、第1期ラストの展開から修復しようがないように思えた関係性が、話数を重ねて回復していく様がしっかり描かれていました。過去の大河内一楼作品には、キャラクターの関係性が尊い『エスケーエイト』(テレビ朝日系)という楽しい作品があったことも事実。そのため、ハッピーエンドになるか、それともビターエンドを迎えるのか、どちらに転ぶのかもわからないドキドキも楽しみの1つになっています。
大河内一楼は、6月29日からNetflixでの配信も開始されたアニメ映画『アイの歌声を聴かせて』でも共同脚本を務めており、同作は『水星の魔女』の共通点が多いことも特徴的。観客に予想をさせない計算し尽くされた展開、とてつもない感動が待ち受けています。ぜひ『水星の魔女』ファンにも最優先で見てほしいと心から願います。
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この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「日刊サイゾー」「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の魅力だけでなく、映画興行全体の傾向や宣伝手法の分析など、多角的な視点から映画について考察する。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
<参考>
機動戦士ガンダム 水星の魔女:女性主人公 学園を舞台にした理由 “新しいガンダム”の挑戦(※1)