3:魅力的なキャラクターの関係性
『水星の魔女』は、ファンアートや二次創作の漫画もたくさんSNSにアップされています。理由の筆頭はキャラクターの愛らしさ。その見た目から「たぬきちゃん」という愛称を持つ主人公のスレッタ・マーキュリーは素直で明るくかわいいですし、対して確かな信念を持ちツンツンしている女の子のミオリネ・レンブランという、対照的な2人の尊い関係性を追い続けたくなるのです。それは一種の「百合」ものでもあり、その愛好家のみならず、多くの人を惹きつけました。
さらに、御曹司のグエル・ジェタークは、初めこそ女性をトロフィーとして扱う有害な男らしさに満ちた最低の人物に思えましたが、回を重ねるごとに「株価」がグングンと上昇。絵に描いたようなツンデレのセリフを放つ愛らしさ、惚れた女性のために怒れる格好良さ、対して負け続ける不憫さ、はたまたどれだけ落ちぶれても前に進み続けるキャラクター性に惚れ込んだ人は数知れません。
このほかのクラスメイトや先輩のキャラクターも、ほとんどが良い子ばかり。だからこそ、後述する“大人のキャラクター”との対立も見どころになっています。
4:学園ものから起業もの、そしてテロへ……
放送初期の大きな特徴は「学園もの」であること。「モビルスーツ」という巨大ロボットが登場するのは従来通りではあるものの、今回は実技テストのために乗ったり、はたまた学園内で生徒同士が“決闘”ために用いたり……。基本的には“戦争の兵器”であったこれまでのシリーズとは異なる役割が与えられていたのです。その決闘に加え、女性たちの関係性や、菜園を営んでいる設定などは『少女革命ウテナ』(テレビ東京系ほか)からの影響が強いと思われます。その後は学園ものという範疇(はんちゅう)に収まらず、ジャンルが移り変わるように展開していくのもミソ。大人たちから出資を募ることで始まる「起業もの」の要素もありますし、その後テロリズムにまで展開し、あわや戦争が起こりかける上、さらなる恐るべき陰謀も明らかになっていきます。怒涛(どとう)の展開が続くことも、リアルタイムで作品を追う人たちの大熱狂につながったのは間違いありません。
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