5:第1期ラストの絶望
バズるパワーワード、衝撃的な展開で話題を集めた『水星の魔女』ですが、その最たるものが第1期最終回(第12話)のラスト。Twitterには阿鼻叫喚(あびきょうかん)の声が続々と寄せられ、筆者は思わず「なんてことするんですかこのアニメ」とつぶやき、その後は丸1日何もする気が起きませんでした。直前の第11話でスレッタとミオリネのイチャイチャぶりが最高潮になってから、この“どん底への落し方”に絶望をしたのです。さらに意地が悪いのは、このラストに至るまでの伏線が周到に組み立てられていることです。ミオリネが「医療技術により命を救うことを目指していた」こと、スレッタが母親の「逃げたら一つ、進めば二つ」の格言を守り続けたことなど、どれもがこの最悪の展開を予見していました。メインの脚本家であり、シリーズ構成も担当している大河内一楼が、漫画家の枢やなから「地獄の一級建築士」と褒め称えられていることも納得です。
6:第2期からの怒涛の展開
絶望的な第1期のラストから、3カ月後に始まった第2期の第13話では、さらに息つく暇もないほどの怒涛の展開が押し寄せました。第14話ではもっと引っ張るかと思われていた「謎」も明確に明かされ、キャラクターそれぞれが背負う「十字架」がさらに重くなり、良い意味で辛く苦しい展開へとなだれ込んでいったのです。第1期の頃にはほのぼのとした日常パートもわずかにあったのですが、もうその日々はもう戻ってこないのでは……と思わされる、世界の平和がはっきりと揺るがされる状況に。過酷な状況に翻弄され続ける愛すべきキャラクターの姿を見ると「もういいから! 幸せになってくれ!」と願うばかり。それも含めて、なんとまあ見る人の心を掻き乱すのがうまいシリーズなのかと思い知らされます。
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