7:親からの支配またはコントロールが描かれている
若い世代の支持を集めたと思われるのが、子どもと親の対立に関する描写。母親からの洗脳じみた教育から逃れられないスレッタ、父親と起業のことなどで揉めながらも和解へと進んでいくミオリネなど、親から子へ「支配」「コントロール」されていた関係が確実に変化していくのです。大人が見ても、子どもへの接し方を反面教師的に学べる部分もあるのではないでしょうか。それは、親が子にかけた「呪い」とも言えるもので、第1期ラストの最悪の展開にも関係します。第2期からは、その呪いをどう解くか、もしも解かれたらどのように前を向いて進めばいいか、ということまで描かれていました。とある「扉」を隔て、その呪いが明確に変わったことを示す描写、スレッタが守り続けた「逃げたら一つ、進めば二つ」の格言を自分でどう捉えるようになっていくのかも秀逸でした。
8:ド迫力のアニメのクオリティ、レジェンド級のスタッフの参加
『水星の魔女』はアニメとしてのクオリティもとても高く、キャラクターがコロコロと表情を変える愛らしさはもちろんのこと、見せ場となる巨大ロボット同士のバトルもド迫力でした。普通に見ただけでは気づかない、コマ送りするとツンツンしていたはずのキャラクターがかわいい表情を浮かべていたり、超ハイスピードの戦闘の中で思いもよらぬ“避け方”をしていたりすることも話題になりました。
スタッフも超豪華で、特に最終話直前の第23話では原画担当がなんと70人弱にまでなり、スタッフの多さにも驚かされました。かつ、そのクレジットの中に、馬越嘉彦、沖浦啓之、吉田健一、大張正己、菊田幸一、村木靖などレジェンド級アニメーターの名前が含まれていたこともアニメファンの間で話題に。
絵コンテ担当も7人いて、そこに含まれる麻宮騎亜、米たにヨシトモといった名前もまた有名。トップクラスのアニメクリエイターが「集結」したからこその超絶クオリティと言えるでしょう。
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