30年前に比べて24.7兆円も増えた社会保障費
例えば、1990年度の国の歳出66.2兆円の中で、社会保障費は11.6兆円だった。しかし、これが30年を経た2022年度になると、国の歳出は107.6兆円に膨れ上がる。
「それはコロナ予算のせいでは」と思う人もいるかもしれないが、実は新型コロナ予備費はわずか5兆円。ここまで歳出を増やしたのは、30年前に比べて24.7兆円も社会保障費が増えているからなのだ。
このように膨張していく社会保障費の予算を捻出するため、国も借金や税金を充てている。しかし、これまでも日本はすさまじい額の借金をしてきたのでそれも限界がある。そうなると、残された方法は、社会保険料の料率をじわじわと上げていくしかないというわけだ。
さて、このような話を聞くと、「高齢者のためになんでわれわれ現役世代が犠牲にならなくてはいけないのだ」と憤慨をする人も多いかもしれない。中には、社会保険料の重い負担が、日本の賃金を低くしているのではないかと考える人もいるだろう。
実際、インターネット上では、どうせ賃金が上がることは期待できないので、せめて社会保険料の負担を軽くしてほしい、という悲痛な叫びも散見される。
ただ、これもかなりビミョーな話だ。個人や企業の所得に占める税金や社会保険料の割合を示した「国民負担率」を見ても、同じような生活水準の先進国と比べても、日本の負担率は決して重くない。