ここがヘンだよ、ニッポン企業 第9回

「日本の社会保険料は高すぎる!」と感じる人が増える、根本的な原因

バブル崩壊以降、日本人の平均年収は横ばいか、むしろ減少に転じているにもかかわらず、なぜ社会保険料の料率は上がっているのだろうか。われわれの手取りが上がらない理由は……。

「日本の社会保険料は高すぎる!」

給与明細を見て、ため息をついている人も多いのではないか。今の日本はあらゆるものの値上げが続く中で、給料はまったく上がっていないからだ。
 

こんなに毎日汗水垂らして真面目に働いているのに、これっぽっちしか給料がもらえないなんて、何かが間違っている――。そんな怒りを感じながら、給料明細を穴が開くほど見つめていると、多くの人はきっとこんなふうに感じるはずだ。
 

意外と知らない「社会保険料」のカラクリ

「なんか社会保険料ってずいぶんと高くない? 給料からこんなに引かれたらボッタクリじゃねえかよ!」
 

社会保険料とは、その名の通り社会保障にかかる費用で、将来受け取る年金や、病院で医療費を支払う際に用いられる健康保険や介護保険などの財源に充てられており、その金額は収入によって定められている。会社員の場合はざっくり言うと、給料の15%が天引きされている。
 

ただ、実はこれにはカラクリがある。社会保険料というのは労使負担で、会社側も15%負担をさせられている。といっても厳密に言えば、このカネは会社が懐を痛めているわけではない。
 

企業は社員を採用して給料を決める際に、この会社負担の15%を先に算出してさっ引いたものを給料としている。つまり、実際は1人の社員に費やされる「人件費」の中の30%が社会保障費として持っていかれているのだ。
 

そこに加えて、この社会保険料自体の料率は年々上がっている。
 

>次ページ:平均年収は横ばいなのに、社会保険料の料率が上がっているワケ

 

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