ここがヘンだよ、ニッポン企業 第10回

「トヨタイムズで社長人事発表」は豊田章男社長の「メディアへの三行半」

トヨタ自動車は1月26日、社長交代の人事を発表した。同日、自社のYouTube番組「トヨタイムズニュース」で「緊急生配信」を行ったが、それにはワケがあった。

「こんなやり取り聞いちゃうと、トヨタってやっぱり良い会社なんだなって思います」
「なんて素敵な会社なんだ ますます私のトヨタ愛が深まった」

そんな風にSNSで“称賛”されたのはトヨタ自動車の社長交代発表会見だ。
 

1月26日、同社はコーポレートサイトで4月1日付の人事を発表。佐藤恒治執行役員(53)が次期社長に昇格し、これまで長く社長を務めてきた豊田章男氏(66)は会長に就くと発表、そのまま間髪入れず自社のYouTube番組「トヨタイムズニュース」に、豊田氏と佐藤氏らが生出演して「緊急生配信」を行ったのである。
 

自社YouTube番組「トヨタイムズニュース」で行われた「緊急生配信」

この番組終了後、どういうわけか配信は継続。そこでは緊張から解放された豊田氏が笑顔で佐藤氏を「最後、笑顔が欲しかったね」などとイジって、佐藤氏も「ちょっと力入っちゃいました」と照れ笑いをするなど、両者の仲の良さが伝わってくるやりとりが流れた。この“オマケ映像”が視聴者に好印象だったというわけだ。
 

さて、こういう話を聞くと、「さすが世界のトヨタ、オウンドメディアをフル活用して生活者にダイレクトに情報を届ける戦略が素晴らしい」という印象を抱く人も多いだろうが、実はこれはそんなキラキラした話ではない。
 

>次ページ:トヨタが日本のマスコミに対して三行半を突き付けた
 

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