ここがヘンだよ、ニッポン企業 第10回

「トヨタイムズで社長人事発表」は豊田章男社長の「メディアへの三行半」

トヨタ自動車は1月26日、社長交代の人事を発表した。同日、自社のYouTube番組「トヨタイムズニュース」で「緊急生配信」を行ったが、それにはワケがあった。

「トヨタイムズ」が誕生したワケ

その象徴が、2019年正月にスタートした「トヨタイムズ」だ。当初からこのオウンドメディアは、マスコミの偏向報道を嫌っている豊田氏が、自分たちで正しい情報を発信ができるようになることを目的としたプロジェクトだといわれていた。

「トヨタイムズ」(出典:公式サイト

それがよく分かるのが、「トヨタの真実を取材で追求していく」というコンセプトだ。これはうがった見方をすれば、「既存マスコミはトヨタの真実を追求していない」という強烈な皮肉とも取れる。
 

そんな「豊田氏のマスコミ嫌い」に拍車を掛けたのが、新型コロナウイルスだったといわれている。2020年5月、先の見えない感染拡大で、日本中が不安に包まれていたとき、豊田氏は決算会見で、力強く「黒字死守」をアピールした。トヨタが弱気なことを言えば、日本の製造業も暗いムードに包まれて、経済も冷え込む。豊田氏はマスコミにも希望が持てるような報道を期待した。

2020年5月に行われた「2020年3月期 決算説明会」にて(出典:トヨタ自動車)

しかし、マスコミ側の「思惑」は違った。当時、新型コロナウイルスによる死者が増えて医療崩壊で日本は阿鼻叫喚の地獄になると脅すようなことを言えば言うほど、ワイドショーの視聴率は上がり、新聞もよく売れる風潮があったのだ。
 

そうなると当然、トヨタの決算もネガティブに報じた方がコンテンツとして価値が上がる。その代表が、決算翌日の日本経済新聞の一面を飾った「トヨタの今期営業利益、8割減の5000億円 新型コロナで」という見出しだ。


>次ページ:トヨタとマスコミによる「冷戦」
 

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    ツッコミどころ満載で愛される『名探偵コナン 紺青の拳』、気になる5つのシーンを全力でツッコんでみた

  • どうする学校?どうなの保護者?

    【PTA免除の儀式】固まる母親を見かね「もうやめませんか?」声をあげた父親に何が起きたか

  • 世界を知れば日本が見える

    大谷翔平選手に「忖度」がないアメリカ。メディアで言及される“矛盾点”を時系列順に整理した

  • AIに負けない子の育て方

    2024年の中学入試は「弱気受験」だったというが…受験者増の人気校に見る、中受親の変化