ここがヘンだよ、ニッポン企業 第10回

「トヨタイムズで社長人事発表」は豊田章男社長の「メディアへの三行半」

トヨタ自動車は1月26日、社長交代の人事を発表した。同日、自社のYouTube番組「トヨタイムズニュース」で「緊急生配信」を行ったが、それにはワケがあった。

トヨタとマスコミによる「冷戦」

これを境に、トヨタの「マスコミ軽視」はさらに強くなる。例えば翌2021年夏に開催された東京五輪のときに、選手村でトヨタの自動運転車がパラ五輪の日本代表選手と接触事故を起こすということがあった。
 

本来、この手の事故は警察などとも連携をしている報道機関に真っ先に伝えるのが「常識」だが、トヨタはマスコミの記者団に対応する前に、「トヨタイムズ」に豊田社長が出演して、状況の説明と謝罪をした。この明らかにマスコミにけんかを売ったような対応に、一部のマスコミがかみ付いた。
 

 『選手の出場機会を奪うという重大な事案にも関わらず、トヨタが事故を公表したのは翌日になってから。しかも、自社サイト「トヨタイムズ」で状況を説明した後に、豊田氏がマスコミの取材に応じただけで、正式な記者会見の場は設けていない』(2021年9月2日付 産経ニュース)


こんな「冷戦」が続く中で、ついに社長人事というマスコミが最も欲しがるニュースまで「冷遇」をした。これは完全に「三行半」ということではないのか。

「2021年3月期 第2四半期決算説明会」での豊田章男社長(出典:トヨタ自動車)

ちょっと前、ある有名自動車ジャーナリストが、「トヨタが日本をあきらめつつある」という評論を発表して大きな話題になったが、実はそのあきらめているものの中には、「偏った報道を流し続けるマスコミ」が大きく占めているのかもしれない。


窪田順生プロフィール
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライター。また、報道対策アドバイザーとしても、これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行っている。


【おすすめ記事】
「日本の社会保険料は高すぎる!」と感じる人が増える、根本的な原因
「安いニッポン」に三行半? 国内で消滅寸前の「東京チカラめし」はなぜ海外に軸足を移すのか
海外で低賃金労働者になってしまう日本人、「安いニッポン」の本当の怖さとは
アムウェイの行政処分は「見せしめ」か? 今「マルチ商法」が狙われているワケ
なぜサイゼリヤは「大盛り終了」の理由を「品質の安定が困難」などと苦しい説明をしたのか


 

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    ツッコミどころ満載で愛される『名探偵コナン 紺青の拳』、気になる5つのシーンを全力でツッコんでみた

  • どうする学校?どうなの保護者?

    【PTA免除の儀式】固まる母親を見かね「もうやめませんか?」声をあげた父親に何が起きたか

  • 世界を知れば日本が見える

    大谷翔平選手に「忖度」がないアメリカ。メディアで言及される“矛盾点”を時系列順に整理した

  • AIに負けない子の育て方

    2024年の中学入試は「弱気受験」だったというが…受験者増の人気校に見る、中受親の変化