ここがヘンだよ、ニッポン企業 第5回

海外で低賃金労働者になってしまう日本人、「安いニッポン」の本当の怖さとは

経済的に豊かになった中国人が、貧しくなった日本の出稼ぎ労働者の足元を見て、労働を搾取する問題が静かに進行している。日本の賃金が安くなることの本当の恐ろしさとは――。

海外で年収7000万超の寿司職人も(画像はイメージ)

今、海外で「出稼ぎ」をする日本人が増えている。
 

例えば今、「短期で稼げる」といわれているのが、アメリカやオーストラリアだ。筆者も出演した9月23日の『ABEMA Prime』では、日本で3年間修行した後にアメリカで寿司職人をしているという男性が登場し、年収7000〜8000万円だと明かしてスタジオの人々を驚かせていた。
 

また、ワーキングホリデーでオーストラリアを訪れて、そのまま工場で金属加工の仕事をしている32歳の男性もリモート出演し、現在の月収が日本円で80万円ほどで、プライベートの時間もたっぷりとある働き方だとして、「もう日本では働きたくない」と言っていた。
 

ただ、これはちょっと冷静に考えれば、驚くような話ではない。世界では賃上げのため、政府が最低賃金を継続的に引き上げていくのが一般的だが、日本では「中小企業が潰れてしまう」という独特な経済理論に基づいて、最低賃金引き上げを抑制してきた。
 

その結果、日本の賃金は30年間ほとんど上がらずで、国税庁発表の「2021年分民間給与実態統計調査」では、平均給与は約443万円。G7の中で最下位まで落ちぶれた。平均給与ではついにお隣、韓国にまで抜かれてしまった。中国やベトナムの都市部では、東京や大阪よりも給料が高い仕事が山ほどある。アメリカ、オーストラリア、欧州などはそれ以上だ。


>次ページ:「安いニッポン」より給料の高い海外へ

 

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