ここがヘンだよ、ニッポン企業 第5回

海外で低賃金労働者になってしまう日本人、「安いニッポン」の本当の怖さとは

経済的に豊かになった中国人が、貧しくなった日本の出稼ぎ労働者の足元を見て、労働を搾取する問題が静かに進行している。日本の賃金が安くなることの本当の恐ろしさとは――。

全世界で確認されている「性」搾取

豊かな国が、経済格差のある国から出稼ぎをしにきた女性たちの「性」を搾取するというのは、全世界で確認されている、人類社会の普遍的な現象だ。
 

バブル期の日本でも「じゃぱゆきさん」と呼ばれるフィリピン人女性たちが人身売買的に扱われ、中には偽装結婚や、管理売春の被害者になることが社会問題となった。

性的搾取が深刻に(画像はイメージ)

「出稼ぎ」が増えている「安いニッポン」でも、このような女性の性的搾取が深刻になっていく恐れがある。
 

例えば、2021年12月5日付の『FRIDAY DIGITAL』には、コロナ禍で仕事が激減したAV女優が「ロスの豪邸で売春ビジネスをする中国人」から誘われて渡米し、2週間にわたって中国人相手に売春をした体験が掲載されている。
 

当初はチップを含めて日本円で250万円稼げるという話だったが、客の中国人はほとんどチップを払わなかった。結局、AV女優は聞いていた話よりも70万円を値下げされて180万円を手にして帰国したという。バブル期に「じゃぱゆきさん」でおいしい話を唆して売春をさせ、日本人ブローカーが上がりをピンハネしていたのとまったく同じ搾取の構造だ。
 

これはセックスワーカーにとどまらず、アニメ産業やIT業界、製造業などさまざまな現場で起きている。経済的に豊かになった中国人が、貧しくなった日本の出稼ぎ労働者の足元を見て、労働を搾取する問題が静かに、そして確実に進行しているのだ。


>次ページ:「安いニッポン」の本当の怖さ

 

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