意外と知らないグルメのひみつ 第53回

日本のにんにくは中国産が9割。「国産にんにく」と「中国産にんにく」の違いとは? 3つの産地で比較

和洋中問わず、さまざまな料理に活躍するにんにく。スーパーでは国産だけでなく中国産など海外から輸入されたにんにくも並んでいますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。今回は国産、中国産、イタリア産にんにくの3種類をさまざまな視点から徹底比較してみました。

国産、中国産、イタリア産にんにくを比べてみた
国産、中国産、イタリア産にんにくを比べてみた
中国はにんにくの一大産地。値段が安く買いやすいのも特徴の1つですが、国産や、他の産地と比べてどう違うのでしょうか。今回は中国産・国産・イタリア産のにんにく3種類を「にんにく水」で比較してみました。

にんにくは国産と海外産が半々。輸入にんにくは中国産が9割以上

写真はイメージです
写真はイメージです
スタミナアップ食材の代表格・にんにく。日本での全体供給量は2022年で約4万4500トンにもおよびます。そのうちの約半数が国産にんにく、残り半分が海外からの輸入にんにくという割合です。

日本国内で最もにんにく生産が盛んなのが青森県。次いで北海道、香川県と続きます。全国1位の青森県は毎年1万トン以上を出荷するなど他エリアよりも圧倒的な生産量の高さで、国内出荷量の約7割を占めています。

海外産のにんにくで、日本への輸入量が最も多いのは中国。広大な敷地で大量生産でき、価格を安く販売できる中国は世界トップクラスのにんにく生産地で、日本でも輸入全体の9割以上を占めます。中国に次ぐ輸入量2位にはスペイン産にんにくが続きますが、実は、世界全体の生産量から見るとスペイン産にんにくは1%以下。一方で、日本への輸出量は5.5%です。

日本国内に流通する輸入にんにくはほぼ中国かスペイン産なのですが、近年ではわずかながらイタリア産やアメリカ産にんにくも見かけるようになってきています。

にんにくは寒冷地・温暖地で品種系統が違う

にんにくは寒い地域と暖かい地域で、生育に適した品種の系統が異なります。大きく分けると、北海道や東北といった寒冷地では、1つのにんにくに6個のりん片が含まれる「六片種」が主流。中には雪の中でも育てられるような寒さに強い品種もあるそう。

ひとつずつのりん片が大きく、形がそろっていて使いやすいことに加え、表皮は白く、甘みが強いのが特徴です。代表的な品種として、「福地ホワイト六片」「ニューホワイト六片」などがあります。
にんにくは鱗片が集まって1個の形になる
にんにくはりん片が集まって1個の形になる(写真はイメージです)
一方、九州や四国などの温暖な地域では、1つのにんにくに複数のりん片が含まれる「多片種」が主流。中国から伝わったとされる「上海早生(しゃんはいわせ)」や、1個に12片が入った「壱州早生(いっしゅうわせ)」などが代表的な品種です。

“早生”という名前の通り、大きさはやや小ぶりで、ひとつずつのりん片も小粒。寒冷地のにんにくよりも表面の皮はやや茶色がかっており、特有の匂いや辛みがやさしくマイルドな味わいが特徴といわれています。
中国産、国産、イタリア産にんにく
写真左からイタリア産、国産、中国産のにんにく
今回は複数のスーパーを巡り、国産(青森県産)、中国産、イタリア産のにんにくを購入。3種類の違いを比べてみました。
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国産、中国産、イタリア産のにんにくを比較!
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