世界を知れば日本が見える 第10回

トランプ前大統領のTwitterアカウント復活は、バイデン政権に向けたメッセージか

永久凍結していたトランプ前大統領のTwitterアカウントが復活した。なぜこのタイミングだったのか。アメリカ社会に与える影響とは――。

すぐに動き出したマスク氏

アグラワル氏がCEOになると、すぐにマスク氏は動き出した。まず12月2日には、アグラワル氏が、ドーシー氏を川に蹴落としたと受け取れるコラージュ写真をツイート。そして年が変わった2022年1月から、買収に向けてTwitter株の購入を始めた。
 


結局、4月には買収が表面化し、Twitterはマスク側の買収提案に合意。しかしそこからなかかなマスク氏は買収を完了せず、Twitterの発表以上にbotや偽アカウントが存在していると指摘してゴネた。10月には買収完了を求めるTwitter側の裁判が開かれる予定になっていたが、その直前で、マスク氏は買収を完了させるに至ったのだった。
 

これからマスク氏が、悪名高いトランプ前大統領のアカウントを復活させるなどあの手この手を繰り出しながら、Twitterをどう変革させていくのか楽しみである。


山田 敏弘プロフィール
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。

国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)。近著に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)がある。

Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル


【おすすめ記事】
Twitter買収撤回のイーロン・マスク、次は「世界一有名な出禁ユーザー」トランプ氏と“喧嘩”
イーロン・マスク氏の「香水」はなぜ売れた? スターリンクを巡る物議も計算通りか
「Twitter有料化」でサブスクモデルも? イーロン・マスクはツイッターをどう変えるのか
Twitterは再上場の可能性もある? イーロン・マスク氏による買収で何が変わるのか、現時点で分かっていること
なぜ日本が標的に? ロシア系のサイバー攻撃集団「Killnet」の目的とは


 

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    静岡の名所をぐるり。東海道新幹線と在来線で巡る、「富士山」絶景ビュースポットの旅

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『グラディエーターII』が「理想的な続編」になった5つのポイントを解説。一方で批判の声も上がる理由

  • アラサーが考える恋愛とお金

    「友人はマイホーム。私は家賃8万円の狭い1K」仕事でも“板挟み”、友達の幸せを喜べないアラサーの闇

  • AIに負けない子の育て方

    「お得校」の中身に変化! 入り口偏差値と大学合格実績を比べるのはもう古い【最新中学受験事情】