トランプ氏のアカウント復活は、バイデン政権に向けたメッセージか
実はアメリカでは、今回のTwitter買収騒動は、Twitterに「言論の自由」を求める保守層(トランプ支持者ら)と、ツイートを制限したい「ポリティカル・コレクトネス」重視派(反トランプ支持者ら)との間で、論争になっていた。政治的な話にもなっていたのである。
そして「表現の自由」の重要性を主張するマスク氏がTwitterを買収したことで、トランプ側が勢いづく可能性が出ている。トランプ前大統領のアカウント復活は、まさにその流れに乗ったものである。
加えて、マスク氏はジョー・バイデン大統領との関係も悪い。マスク氏が率いる自動運転大手テスラに対するバイデン政権の冷遇や、自動車組合の支持や労働問題などで対立しているからだ。今回のトランプ氏アカウント復活は、バイデン政権に向けたメッセージでもある。2024年の大統領選でトランプ前大統領という「宿敵」を後押しする形になるからだ。
マスク氏はそれ以外にも、Twitter社内のスタッフ刷新や、広告モデルからサブスクモデルへのビジネスモデルの変革を進めて物議になっているが、ここにきて政治的な議論も巻き起こしている。さすが世界一の富豪に成り上がった起業家だけに、どんどん社会や政治を巻き込む騒動を生み出しているのである。
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