timelesz佐藤勝利主演『君と花火と約束と』が“王道の恋愛青春アニメ映画”なのに「意外な要素」を含むワケ
佐藤勝利がアニメ映画で初主演を務めた『君と花火と約束と』は、『君の名は。』を思わせる「王道の青春恋愛物語」が紡がれながらも、実は「意外な要素」こそが重要な作品でした。(画像出典:(C) 映画「君と花火と約束と」製作委員会 2026年7月17日(金)公開)
1:いきなり「運命の人」と言われる? 佐藤勝利がナイーブで不器用な高校生を体現
物語の発端は、高校生の夏目誠が、初めて出会った同級生の葉山煌に「ずっと会いたかった…!」と声をかけられたこと。というのも、煌は幼い頃からおばあちゃんに「いつか夏目誠という男の子と出会い、お前のために絵を描いてくれる」と聞かされていたというのです。
(C) 映画「君と花火と約束と」製作委員会
「初対面の女の子にいきなり運命の人だと言われる」という、意図的にせよ突飛にもほどがある始まり方なので戸惑う人も多いでしょうが、だからと言って、この
2人がすぐに恋仲になるわけではない、ということが重要でした。
何しろ、その煌の言葉をきっかけに、誠は中学時代に一度は辞めたはずの絵を再び描き始める……のですが、思い通りにはいかず、そのために煌の言う運命の人と自分自身が重ならず、誠は次第に煌と距離を取るようになっていくのです。
そんな誠は、本作の原作となる小説を執筆した真戸香が、取材で高校1年生の男子と一対一で話した全員から、「やりたいことは昔からありましたか?」という切実な悩みを問われたからこそ、生まれた主人公像だったようです。
「夢中になれるものがなかなか見つからない」というのはなるほど今の若者らしい悩みでしょうし、好きだったことに再び向き合う(劇中では初対面の女の子から)きっかけを与えられてもなおも、思うようにはいかないというのも、とても普遍的な悩みであり、そこに向き合う物語の発端から、誠実だと思えたのです。
(C) 映画「君と花火と約束と」製作委員会
また、アニメ映画で初主演となるtimeleszの佐藤勝利は、正直に申し上げると、序盤はアニメのかわいらしい絵柄から、元々の特徴のある声質が少し浮いている印象で、厳しい声も届くかもしれない、と思う部分もありました。しかし、ナイーブかつ不器用で、それでいて誠実さを根底に備えたような「どこにでもいる高校生」を佐藤勝利はしっかり体現しており、終盤の感情が大きく動く演技には確かな感動もありました。
2:実はヒロインが2人? 高橋李依の「愛らしいけど過酷さも感じさせる」熱演
そんな風に「運命の人と言われても、そうはなれない」序盤の流れも面白く観られるのですが、物語の大きな転換となるのは、それから1年後の夏の出来事。煌が急に長岡に引っ越すことを知らされた誠は、彼女と同じ新幹線に飛び乗って、自分たちを繋いだ“花火の絵”の謎を調べようとするのですが……待ち合わせ場所で、今の時代とは思えない服装と言葉遣いの少女・ハルと出会うのです。
(C) 映画「君と花火と約束と」製作委員会
もっとはっきり言えば、「戦争の時代からタイムスリップをしてきた少女と交流する」SF物語になるのです。ここで
「あれ? ヒロインが変わった?」「誠と煌の2人の恋物語じゃなかったの?」と唐突に思う人もいるでしょうが、それもまた意図的かつ重要なこと。詳細は伏せておきますが、「煌というこれまでのヒロインが中盤から姿を見せなくなる」ことも、とある切実な心情につながっています。
(C) 映画「君と花火と約束と」製作委員会
そして、本作で誰もが褒め称えるのは、そのハル役の高橋李依の熱演なのではないでしょうか。
新潟弁が板についた話し方からは確かに昔の人と思わせながらも、天真らんまんな振る舞いがとても愛らしく、一方で言葉の端々から戦争の時代の過酷さもつぶさに感じさせ、終盤で切ない感情をやっと表出させる様などなど……彼女のベストアクトだと思わせるほど。
『魔法つかいプリキュア!』や『【推しの子】』などで高橋李依のファンになったという方には、是が非でも見てほしいです。
(C) 映画「君と花火と約束と」製作委員会
また、煌役の原菜乃華も『すずめの戸締まり』でその実力は証明済みで、今回は優等生かつちょっと浮世離れした印象が前提にありながらも、高橋李依演じるハルと「似たもの同士」に思えるキャラクターおよび演技になっていることにも聴き入ってほしいです。そして、2人のヒロインがどのように佐藤勝利演じる誠の行動を変えるのかにも、注目してください。