3:「長岡花火の平和への祈りをささげる目的」を知ったからこそ生まれた物語だった
さらに重要なのは、娯楽として広く親しまれている打ち上げ花火に、亡くなった人の魂を慰める「鎮魂」や「供養」の意味が込められていると示したことです。特に、長岡花火大会には「長岡空襲」の犠牲者を悼み、平和への祈りをささげるという明確な目的があるのです。実はシンエイ動画の代表である梅澤道彦が本作の企画に着手することになったのも、その目的があると知った長岡花火を軸にしたアニメ映画を作りたいという想いにかられたためであり、そこから親交のあった小説家・真戸香に打診して二人三脚で物語を作り上げたのだとか。
つまり、もともとあった人気の小説をアニメ映画化するのではなく、映画化を目的とした小説が書かれたという制作プロセスであり、「長岡花火の平和への祈りをささげる目的」を前提とした物語だったのです。
また、長岡花火大会で2003年から打ち上げられている、3発の真っ白な花火は「白菊」の名で親しまれているそうです。この花火は長岡空襲が始まった時刻である8月1日の22時30分に犠牲者の慰霊の願いを込めて打ち上げられているそうで、元々は花火師・嘉瀬誠次さんがシベリアで亡くなった戦友を弔うために制作されたものであり、そこには「世界中の爆弾をすべて花火に変えたい」との想いが象徴されているのだとか。
また、本作のタイムスリップに関わる基本的な物語の流れは、SF作品に親しんでいる人であれば、ある程度は予測がつくでしょう。ただ、とあるネタバレ厳禁の事実の提示もあり、それは本当に驚かされると共に、「そうすることができなかった」あるキャラクターの切実な心情を示していました。



