気になるところもあるけど……
この『君と花火と約束と』には正直に言って気になるところもあります。その1つが、劇場で見るアニメ映画としては、やや簡素に思える作画が多いこと。シンエイ動画制作の近作では、アニメの表現としても面白い『化け猫あんずちゃん』『トリツカレ男』『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』という名作が続いただけに、どうしても物足りなさを覚えるところがあったのです。 それでも空襲の場面と、それと対比となる花火の画は確かなこだわりを感じさせますし、全体的にも作画の大きな崩れはないので、許容範囲という方もまた多いでしょう。何より、クライマックスの画とシチュエーションは、「劇場で見て本当に良かった」と心から思えるものでした。
他にもタイムスリップの「トリガー」があいまいすぎないか、キャラクターが「そうする」ことを決意するほどの根拠にやや乏しいのではないか、と思うところもありますが……それでも筆者は、万人が楽しめる青春恋愛映画に仕上げ、かつ長岡花火の目的を汲み取り、今の若い人に向けて戦時中の出来事を示した意義を、心から支持したいですし、掛け値なしに多くの人に観て欲しいと願うことができました。ぜひ、劇場で鑑賞して、これから夏に向けて開催される花火大会を楽しむ時にも、本作のことを思い出してみてほしいです。
この記事の執筆者:
ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
...続きを読む



