ヒナタカの雑食系映画論 第234回

timelesz佐藤勝利主演『君と花火と約束と』が“王道の恋愛青春アニメ映画”なのに「意外な要素」を含むワケ

佐藤勝利がアニメ映画で初主演を務めた『君と花火と約束と』は、『君の名は。』を思わせる「王道の青春恋愛物語」が紡がれながらも、実は「意外な要素」こそが重要な作品でした。(画像出典:(C) 映画「君と花火と約束と」製作委員会 2026年7月17日(金)公開)

気になるところもあるけど……

この『君と花火と約束と』には正直に言って気になるところもあります。その1つが、劇場で見るアニメ映画としては、やや簡素に思える作画が多いこと。

シンエイ動画制作の近作では、アニメの表現としても面白い『化け猫あんずちゃん』『トリツカレ男』『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』という名作が続いただけに、どうしても物足りなさを覚えるところがあったのです。 それでも空襲の場面と、それと対比となる花火の画は確かなこだわりを感じさせますし、全体的にも作画の大きな崩れはないので、許容範囲という方もまた多いでしょう。何より、クライマックスの画とシチュエーションは、「劇場で見て本当に良かった」と心から思えるものでした。
君と花火
(C) 映画「君と花火と約束と」製作委員会
また、前述したように「初対面の女の子にいきなり運命の人だと言われる」冒頭部は突飛も突飛なので、もう少しだけでもそのことに対する「戸惑い」の感情を描いたほうが飲み込みやすかったのではないか、と思う部分もあります。原作小説では誠が煌にドキドキしている、良い意味で気持ち悪いくらいの心理が克明に記されているので、映画と併せて読んでみてもいいでしょう。

他にもタイムスリップの「トリガー」があいまいすぎないか、キャラクターが「そうする」ことを決意するほどの根拠にやや乏しいのではないか、と思うところもありますが……それでも筆者は、万人が楽しめる青春恋愛映画に仕上げ、かつ長岡花火の目的を汲み取り、今の若い人に向けて戦時中の出来事を示した意義を、心から支持したいですし、掛け値なしに多くの人に観て欲しいと願うことができました。ぜひ、劇場で鑑賞して、これから夏に向けて開催される花火大会を楽しむ時にも、本作のことを思い出してみてほしいです。
ヒナタカ
この記事の執筆者: ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。 ...続きを読む
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