ヒナタカの雑食系映画論 第230回

映画『マジカル・シークレット・ツアー』はどこまでが実話? 主婦役に「有村架純以外は考えていなかった」理由

映画『マジカル・シークレット・ツアー』はどこまでが実話なのか、有村架純・黒木華・南沙良の3者がハマり役である理由も含めて解説しましょう。(画像出典:(C)2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会)

マジカル映画
『マジカル・シークレット・ツアー』 6月19日(金)公開 配給:アスミック・エース (C)2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会 
6月19日より有村架純・黒木華・南沙良が初共演を果たした映画『マジカル・シークレット・ツアー』が劇場公開中です。本作は主婦たちが「金の密輸」のために逮捕された実際の事件に着想を得た作品で、「どこまでが実話なの?」と疑問に思う人もいるでしょう。

監督の実体験が反映されていた

結論から申し上げれば、本作の物語やキャラクターのほとんどはフィクションです。しかし、後述する通り「監督の実体験」が一部に反映されていたりもするのです。

そして、特異な事件に限らない「無意識の決めつけや思い込み」の普遍的な寓話(教訓を与える物語)になっていることこそが、真に重要な作品であると思えました

れっきとした犯罪を描いている、後述するような「生々しさ」が多分にある作品ながら、なぜ『マジカル・シークレット・ツアー』というきらびやかなタイトルが付けられているのか。その理由も含めて解説しましょう。

実際の事件との明確な違いは?

まず、実際の2017年に起こった事件のあらましを記しておきましょう。40代から70代の主婦やパートの女性5人が、約30キロ、金額にして1億3000万円相当の金塊を密輸入したとして、中部国際空港で逮捕されました。

彼女たちは金塊を下着に縫い付けられたポケットの内側に隠すなどの手口で、約1000万円の税金の支払いを逃れようとしていました。主犯格の女性は他の4人を誘う「中心的な役割」を担っており、裁判官からは「組織的・職業的犯行」であると指摘されていました。

実際の事件では逮捕者は5人でしたが、今回の映画ではメインキャラクターを3人に絞っています。また、実際の事件での密輸入元は韓国でしたが、映画では「2017年当時の日本への金の密輸のほとんどがシンガポールと香港だった」という理由でシンガポールを舞台とし、実際にロケ撮影も行われました。
マジカル映画
(C)2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会
注目は、天野千尋監督が自身の関心ごとについて、「もちろん犯罪は許されません」としながらも、「犯罪者である彼女たちではなく、生活者としての彼女たちの方に引き寄せられ、どんな暮らしをしていたのか? なにか事情があったのか? どうやって計画したんだろう? など空想がどんどんふくらんでいきました」などと語っている点です。

その言葉通り、劇中のキャラクターそれぞれの描写、特に金の密輸に向かうまでの心理は天野監督の想像(空想)によるものですが、「実際もこうだったのかも」と思えるほど、リアルかつ生々しく描かれていたりもします。
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有村架純演じる2児の母が犯罪者に。「リアルで生々しい」理由も
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