その『犯罪都市』シリーズは累計動員が4000万人を超え、日本でも熱狂的なファンがいます。さらに、ハリウッド大作でも活躍する主演俳優マ・ドンソクの魅力もとても大きいため、日本でシリーズを作るとなると「縮小再生産にならないか?」「マ・ドンソク抜きの犯罪都市は犯罪都市にならないのでは?」と、失礼ながら見る前は思ってました。
ところがどっこい。本作はヤバすぎました。あっと驚くアクションの連続で、キャラ立ちまくりで豪華キャストが全員ハマり役で、何よりエンタメとしてめちゃくちゃ面白い! しかも、関連作品との物語やキャラクターのつながりはごく一部にとどまっており、本作がシリーズ初見でもまったく問題なく楽しめます。さらには「これこそ犯罪都市だ!」とファンが納得できるサービスもふんだんという、「これ以上はもう望めないのでは?」と思えるほどの完成度だったのです。
前置き:PG12指定でもギリギリなバイオレンスが連続! 特に福士蒼汰がヤバい!
注意点は「激烈な殺傷流血・肉体損壊の描写がみられる」という理由でPG12指定がされていること。しかもバイオレンスシーンは10分に1回ある(それ以上かも?)というなかなかの頻度で、人によってはショッキングに映りすぎてしまうのかもしれません。特に、後述する通り、最狂の犯罪集団のボスである福士蒼汰が「ガチ」すぎて、彼のファンを心配してしまう、「大丈夫ですか?」と声をかけたくなるレベルでした。
とはいえ、それらは「これ以上は考えられないほどの悪人たち」に対して、「こいつら絶対に許せねぇ!」と思わせるためには必要なものだと思いました。暴力描写から「逃げなかった」ことは本作の誠実さの表れだと思いますし、それでいて万人向けのエンタメ性が保たれているバランスも支持したいです。
それ以外の情報はなくてもいい、というくらいですが、内容に触れつつ、5つのポイントに分けて、さらなる魅力を紹介しましょう。
1:シンプルな「刑事バディもの」。それでいて「もはやカオス」な事態に?
あらすじは、元暴走族総長の新人刑事が、国際手配中の犯罪集団を追う韓国警察庁の刑事と共同捜査を開始する、というもの。「初めは相性最悪で反目しあっていたはずの2人が、いつしかお互いを理解して相棒になっていく」という、一定の面白さが保証済みのシンプルな「バディ刑事もの」なのです。
それはそれで複雑な権力構造、または「持ちつ持たれつ」と表現される利害関係のバランスも見えてくる、とても興味深いものでした。それでも、やはり基本は「コンビで指名手配犯を追う」という明確な物語の軸が存在するため、大きく混乱せずに見られるでしょう。
2:「血の気が多いけど良いヤツ」の水上恒司が最大の勝因!
その上で、主演の水上恒司というキャスティングおよび、その役柄の説得力が面白さを大きく底上げしています。
実際に若手実力派俳優から水上恒司が主演候補として挙がった際、オリジナルよりも年齢が若いことを考慮して、内田英治監督から「いっそ全体の年齢層を若くしてもいいのではないか?」という提案もあり、そこから新米刑事かつ、元暴走族の総長という大胆な設定が生まれたのだとか。
これこそ、本作の最大の勝因と言ってもいいでしょう。オリジナルの『犯罪都市』でマ・ドンソクが演じた刑事は「人柄と腕っ節の強さでよく知られる」という“年季”を感じさせましたが、そちらを良い意味で踏襲することなく、水上恒司という俳優の“今”の魅力を引き出した、“フレッシュ”な主人公像を構築したのですから。それでいて、主人公の根底に確実に“善性”があるという、やはりオリジナルの重要な要素を外していないのです。 さらに、水上恒司はアクション練習はもちろんプロレスの研究にも余念がなかったそうで、しかも内田監督のイメージする80~90年代の不良映画も積極的に鑑賞し、あの時代特有の佇まいや不良たちの表情管理なども徹底的にチェックしていたのだとか。そのかいもあって、劇中の水上恒司の“ヤンキー”的にも思える立ち振る舞いは良い意味で“昭和っぽさ”も感じさせ、それもまた味わい深いところ。
バディとなる韓国の刑事役のユンホ(東方神起)も、「初めはぶっきらぼうで頭でっかちでイヤなやつ」だけど「徐々に違う面も見えてくる」という役柄を好演しています。彼もまた身体能力とスタイルの良さで“アクション映え”しますし、日本語が得意であることも含めて、「ユンホ以外は考えられない」ほどのハマり役でした。



