ヒナタカの雑食系映画論 第224回

映画『未来』で描かれる児童虐待、いじめ……注意が必要な点と、どうしても気になったこと。それでも見てほしい理由は

未成年への性暴力やいじめの描写がある映画『未来』では、インティマシー・コーディネーターの浅田智穂がクレジットされていることを確認できました。その上で、どうしても気になったことがあったのです。(※画像出典:(C)2026 映画「未来」製作委員会 (C)湊かなえ/双葉社)

未来映画
『未来』 2026年5月8日(金)公開 配給:東京テアトル (C)2026 映画「未来」製作委員会 (C)湊かなえ/双葉社
映画『未来』が5月8日より劇場公開中です。

『告白』『少女』『母性』など映像化作品も多い湊かなえの“集大成”と呼ばれる小説を原作としており、メガホンを取ったのは『ラーゲリより愛を込めて』や『春に散る』の瀬々敬久監督。若手の注目株のほか、黒島結菜、松坂桃李、北川景子、細田佳央太など豪華キャストの熱演も見どころの、堂々とした風格のあるヒューマンミステリーに仕上がっていました。

しかも、先が気になるエンターテインメント性も存分にあり、重く苦しいシーンが目立つものの、ほっとひと息をつける(特に坂東龍汰が出演している)場面もあります
未来映画
(C)2026 映画「未来」製作委員会 (C)湊かなえ/双葉社
何より、後述する問題を深く考えるきっかけにもなるなど、間口は広く、実際に多くの人に見てほしいと心から願える内容になっているのですが………見る前の注意もまた必要な内容であり、どうしても気になったこともあったのです。

未成年への性暴力やいじめの描写には注意

本作は「未成年への暴力、性的虐待及び20歳未満の飲酒の描写がみられる」という理由でPG12(小学生には助言・指導が必要)に指定されています。

メインキャストの1人である山崎七海は2008年生まれで実際に未成年で、母親の恋人から殴られるばかりか「服をまくり上げられそうになる」シーンもありますし、中学校でのいじめは「生理」や「匂い」をも利用するという陰惨なものです。
未来映画
(C)2026 映画「未来」製作委員会 (C)湊かなえ/双葉社
そのほかにも複数の少年少女が物理的に傷つけられる、性的な行為を強要される描写もあり、見る人によっては必要以上に心を痛めてしまう、フラッシュバックをしてしまう可能性もありますし、少なくともある程度の覚悟を持って鑑賞したほうがいいでしょう。

それらの描写は、作品には必要だったのだと確かに思えます。「なぜそれほどの恐ろしい選択をしなければならなかったのか」「なぜ絶望したのか」を観客にこれ以上なく伝えることに成功しており、それこそが映像化の最大の意義と思えるほどでした。
未来
(C)2026 映画「未来」製作委員会 (C)湊かなえ/双葉社
映画は、理想的な生活や華やかな世界を構築することができる一方で、生き地獄のような状況にいる人間の絶望をも「当事者」のように「体験」することができます。それはテレビのニュース映像やネットの記事では絶対になし得ないことです。

生身の人間、それも未成年に見える俳優が演じているからこそ、本来は守られるべき立場の子どもが、その生き地獄のような状況に置かれることが、どれほどに過酷で、許し難いことなのか。それを認識するためにも、ぜひ見てほしいのです。
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