前置き1:PG12指定およびショッキングな死体の画には注意
見る前の注意点としては、直接的な残酷描写はおおむね避けられているものの、死体が映るショッキングな画があるほか、「弱者への暴力描写がみられる」という理由でPG12指定がされていることが挙げられます。加藤千尋演じる妻が精神をすり減らしていく様は胸が痛くなりますし、何より北山宏光ファンに対しては「大丈夫ですか?」と声をかけたくなるほど怖い(褒めています)ので、それなりの覚悟の上で見ることをおすすめします。
前置き2:映画館で「こだわりの悲鳴」に耳をすませてほしい
本作は劇場で鑑賞することを強くおすすめします。映画の中でも、特にホラーというジャンルは、「暗がり」「他に邪魔の入らない」環境の映画館でこそ、作品が真に目指した恐怖を体感できるというのが、大きな理由の1つです。 それだけでなく、この『氷血』では「大なり小なりの音量で、女性の悲鳴が何度も聞こえる」演出がされていることも重要です。それらの悲鳴は3日間をかけて、苦しそうな声、泣き声、叫び声などを録り溜めていたそうで、吹雪や風の音に重ねられたり、南京錠をガチャガチャさせるシーンでも「かぶされている」のだとか。さらに、聞こえるか聞こえないかのレベルで、夫の稔(北山宏光)や息子の晶(子役の山谷碧都)を呼ぶ女性の声も「まぶされている」そうです。
内藤瑛亮監督いわく「(悲鳴が)聞こえすぎるとあざといし、画面上の役者の芝居の邪魔になってしまう」「かといって、聞こえなければ入れる意味がない」というさじ加減が本当に難しかったそうで、なんとか繊細なバランスで成立させることができたのだとか。「ほんのわずかな悲鳴を聞きこぼさない」ことによる恐怖も、やはり映画館でこそのものだと思います。
また、そもそも「雪に覆われた閉鎖的な場所での恐怖」は、劇中と同様の「逃げられない」場所の映画館でこその臨場感もあるはず。本物の猛吹雪の中で撮影された場面もあるので、吹雪そのものの恐怖もまた体感してほしいのです。 ここからは内容に踏み込みつつ、3つのポイントからさらなる魅力をまとめてみましょう。



