給食費無償化は戦後長い間議論されてきましたが、昨今の物価高騰などを背景に多くの自治体が独自の取り組みを始めるようになり、ようやく国の施策となりました。経済的な負担が軽くなって「助かった!」という子育て世帯は多いことでしょう。
給食を食べられない子どもには相当額を給付
あまり知られていませんが、この制度と同時に「非喫食者支援」というしくみもできました。これは、重いアレルギーや宗教上の理由、不登校など、やむを得ない理由で給食を食べることができない子どもたちを対象に、給食費相当の金銭給付を行う、というものです(現物給付も可能です)。文部科学省が定めた「給食費負担軽減交付金実施要領」には、支援対象として「不登校」がはっきりと書かれており、国からの交付金は「登校」児童数でなく「在籍」児童数で出ることも明記されています。
不登校の子が給付対象外? 文科省も戸惑い
このようなしくみができたのに、不登校の子どもが非喫食者支援から外れている自治体がある——筆者のもとに、そんな情報が寄せられました。連絡をくれたのは、以前PTAに関する取材をさせてもらった保護者Tさんです。Tさんのお子さんは自閉症で、入学してから今まで約2年、学校に通えていません。そこでTさんは非喫食者への支援について、居住するY市(政令市)の教育委員会に問い合わせました。すると「年間94日以上出席しないと対象外」という運用をしていることが分かったといいます。
「これでは、給食を食べる機会が少ない子どもほど支援から外れることとなり、制度の趣旨に逆行してしまいます。『ちゃんと出席している子』しか対象にならないというのは、出席できないことへのペナルティーのようにも感じられます」(Tさん)
これはおかしい。そう感じたTさんは、いくつかの自治体のホームページを確認。すると、戸田市や西宮市、明石市など、不登校の子どもを支援対象に含めることを明記する自治体も少なからずあると分かりました。
しかし、Y市を含む大多数の自治体は、非喫食者支援についてホームページに掲載していませんでした。
「(Y市では)支援対象となっているアレルギーがある子どものおうちには、個別に通知が届きますが、不登校の子の家庭には、こういう仕組みができたことすら知らされません。私は直接問い合わせたので分かりましたが、このままでは不登校の子は支援から外れたままになってしまうと思いました」(Tさん)
そこでTさんは、この件について文部科学省に問い合わせました。Y市の登校日数の要件を伝えたところ担当者はしばし絶句し、「想定外の運用だ」と驚いていたそう。その後、Tさんはこの担当者とよく話をし、照会書を提出したということです。



