ヒナタカの雑食系映画論 第233回

ホラー映画『オブセッション 災愛』はなぜ歴史的大ヒット? “レベルMAXのヤンデレ化”だけじゃない怖さとは

ホラー映画『オブセッション 災愛』が歴史的大ヒットとなった理由をまとめましょう。「キャッチーでわかりやすい」上に「斬新」という、正反対の魅力が同居していたりもするのです。(画像出典:(C) 2026 Focus Features LLC. )

※本記事で紹介している商品の購入やサービスの利用により、売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります。

5:「インセル」への批評でもあるからこそ、デートにもおすすめかもしれない

本作は「インセル」への批評にもなっているとも言えます。インセルとは、異性との交際や性的な関係を望みながら、そうできない男性やコミュニティーを指す言葉であり、女性への嫌悪や過激な言動へつながる問題が指摘されています。

主人公の青年は、基本的には真面目で繊細であり、数々の事態に翻弄(ほんろう)されるため同情したくなる一方、「想い人を自分が好きなようにできている」ことに耽溺(たんでき)している印象もあります。

本作の物語は完全にフィクションかつ現実離れした展開もありながらも、誰もがインセルに足を踏み入れる危険性があると示している、それもまた怖い作品とも言えるでしょう。

だからこそ、劇中の出来事は「パートナーの気持ちを考えた行動ができているだろうか」「自分本位のことばかりしていないだろうか」と考えるきっかけとなり、その意味では大切な人との関係を見つめ直すきっかけにもなるため、デートにもおすすめの作品と言えるのです。

なお、タイトルの「obsession」とは「強迫観念」「妄想」「執着」を意味する言葉です。何かに強く執着することは「愛」とも言えますが、その愛が時に災害のような惨事を引き起こすということは……それもまた現実にあり得ることですし、日本版のサブタイトルにある「災愛」にも表れていると言えるでしょう。

同じくYouTuber監督作&願いがテーマの『ブリング・ハー・バック』も要チェック!

さらに、同じくYouTuber出身の監督が手掛け、さらには物語の中心に「願い」があるという大きな共通項のあるホラー映画『ブリング・ハー・バック』が7月10日より劇場公開中です。
こちらはR15+指定でもギリギリと思えるほどのショッキングかつ「痛い」描写がありながらも、目の不自由な妹のためにお兄ちゃんが奮闘する、感情移入しやすい内容になっていました。

「親切な里親」役が『シェイプ・オブ・ウォーター』や『パディントン』のサリー・ホーキンスという「良い人に見える」キャスティングが活きていますし、監督コンビの前作『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』にあった苛烈で勢いのある演出もとても面白く仕上がっていました。
シェイプ・オブ・ウォーター (吹替版)
シェイプ・オブ・ウォーター (吹替版)
パディントン(字幕/吹替)
パディントン(字幕/吹替)
さらにさらに、こちらもまたYouTuber出身の監督(弱冠20歳!)が手がけたホラー映画『バックルームズ』が世界興行収入3億5000万ドル(約568億円)に到達する大ヒットとなっており、日本では9月4日公開予定となっています。
ともかく、映像というエンタメにおいて最前線にいるYouTuberが、映画でも興行的な記録を塗り替えていることは、歴史的な転換点であると思います。ぜひ、『ブリング・ハー・バック』と『オブセッション 災愛』の本編を見てこそ、そのことを実感してほしいです。
ヒナタカ
この記事の執筆者: ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。 ...続きを読む
>プロフィール詳細
最初から読む
 
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    ホラー映画『オブセッション 災愛』はなぜ歴史的大ヒット? “レベルMAXのヤンデレ化”だけじゃない怖さとは

  • どうする学校?どうなの保護者?

    20年間「駆け込み実績ゼロ」の学校も…「こども110番の家」は本当に必要? PTAが直面する理想と現実

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    南海電鉄の新・観光列車「GRAN 天空」は“高野線の救世主”となれるか。100年ぶりサービス復活の勝算

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    「移民」に冷たいのはどっちなのか? スイスの厳格過ぎる学歴選別と、日本の曖昧過ぎる外国人政策