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1:「願いをかなえてくれるアイテム」が起因の古典的な話だけど…
この『オブセッション』のあらすじは、楽器店で働く青年が「1つだけ願いをかなえてくれる」おまじないグッズの「願いの柳」を手に入れ、「想いを寄せる女性が、世界中の誰よりも僕を愛してくれますように」と願いをかけると、本当にその女性が自分を大好きになってくれた……というもの。しかし、その女性の愛は、完全に常軌を逸したものになっていくのです。 もっと下世話な言い方をすれば、「お願いをかなえてくれるアイテムを使って、想い人を振り向かせようとしたら、超絶“ヤンデレ”化しちゃってもう大変」、という、とてもわかりやすい導入部なのです。「願い」が恐ろしい事態を招いてしまう話には、怪奇小説の『猿の手』という代表例がありますし、便利なアイテムが“因果応報”的な結果を生む様は日本の漫画『笑ゥせぇるすまん』的でもありますし、近年であれば『サブスタンス』も思い出します。つまり、そもそもの発想はキャッチーな一方で「よくある」もの、古典的とさえ言えるでしょう。
2:ドン引きする言動が「笑ってしまう」ほどの恐怖になる
そのように発想そのものは古典的ながら、その「レベルMAXのヤンデレ化」による言動がバラエティー豊かで、めちゃくちゃ怖い上に、時には「笑ってしまう」ものもある、というのが本作の大きな見どころです。
それぞれはなるほど、予算をかけなくても実現可能なものでありながらも、エクストリームな“ヤバさ”が面白さと恐怖に昇華されていたのです。
3:編集・カメラワーク・音の演出も凄まじい
また、本作は「独特のテンポ感の編集」「意味深なカメラワーク」「画面に映らない出来事を示す音」の工夫も行き届いています。 会話をじっくりと見せるかと思いきや、意外なところで“あえて見せずに省略する”ような編集には、突発的またはじわじわと「種が撒かれる」ように恐怖が侵食していくような印象があります。カメラワークには「見切れるギリギリのところにヤバいものが映り込んでいる」ような工夫もありましたし、音でこそ恐ろしい事態を「想像させる」場面もあったりするのです。
それぞれの演出は、本編の一部を切り取るだけでは伝わりきらないものです。映画館で集中して見るからこそ、真の恐怖として受け取れるでしょう。
4:新星インディ・ナヴァレッテの“境界が揺らぐ”熱演
本作でヒロインを演じたインディ・ナヴァレッテが、本作のMVPと断言していいでしょう。序盤こそサバサバした印象のある、気の良い女性だったはずなのに、坂道を転げ落ちるようにヤンデレ化していく過程で、”まともな人”と“狂気が現出する”という境界が揺らいでいく様が、本作でもっとも恐ろしく感じたのですから。



