ヒナタカの雑食系映画論 第233回

ホラー映画『オブセッション 災愛』はなぜ歴史的大ヒット? “レベルMAXのヤンデレ化”だけじゃない怖さとは

ホラー映画『オブセッション 災愛』が歴史的大ヒットとなった理由をまとめましょう。「キャッチーでわかりやすい」上に「斬新」という、正反対の魅力が同居していたりもするのです。(画像出典:(C) 2026 Focus Features LLC. )

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1:「願いをかなえてくれるアイテム」が起因の古典的な話だけど…

この『オブセッション』のあらすじは、楽器店で働く青年が「1つだけ願いをかなえてくれる」おまじないグッズの「願いの柳」を手に入れ、「想いを寄せる女性が、世界中の誰よりも僕を愛してくれますように」と願いをかけると、本当にその女性が自分を大好きになってくれた……というもの。しかし、その女性の愛は、完全に常軌を逸したものになっていくのです。
もっと下世話な言い方をすれば、「お願いをかなえてくれるアイテムを使って、想い人を振り向かせようとしたら、超絶“ヤンデレ”化しちゃってもう大変」、という、とてもわかりやすい導入部なのです。

「願い」が恐ろしい事態を招いてしまう話には、怪奇小説の『猿の手』という代表例がありますし、便利なアイテムが“因果応報”的な結果を生む様は日本の漫画『笑ゥせぇるすまん』的でもありますし、近年であれば『サブスタンス』も思い出します。つまり、そもそもの発想はキャッチーな一方で「よくある」もの、古典的とさえ言えるでしょう。
猿の手 (ホラー・クリッパー)
猿の手 (ホラー・クリッパー)
笑ゥせぇるすまん 全5巻セット
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サブスタンス(字幕/吹替)
サブスタンス(字幕/吹替)

2:ドン引きする言動が「笑ってしまう」ほどの恐怖になる

そのように発想そのものは古典的ながら、その「レベルMAXのヤンデレ化」による言動がバラエティー豊かで、めちゃくちゃ怖い上に、時には「笑ってしまう」ものもある、というのが本作の大きな見どころです。
オブセッション
(C) 2026 Focus Features LLC. 
特に序盤で「お願いの力に支配されているように見える」女性の「ある場面での急変」にゾッとします。中盤での、みんなでとあるゲームをした時の「勝手すぎる言動」はものすごく良い意味で「ドン引き」してしまうでしょう。その後の展開は予想外にして、これ以上はないほどに事態がエスカレートするため、目が釘付けになるはずです。

それぞれはなるほど、予算をかけなくても実現可能なものでありながらも、エクストリームな“ヤバさ”が面白さと恐怖に昇華されていたのです。

3:編集・カメラワーク・音の演出も凄まじい

また、本作は「独特のテンポ感の編集」「意味深なカメラワーク」「画面に映らない出来事を示す音」の工夫も行き届いています。
会話をじっくりと見せるかと思いきや、意外なところで“あえて見せずに省略する”ような編集には、突発的またはじわじわと「種が撒かれる」ように恐怖が侵食していくような印象があります。

カメラワークには「見切れるギリギリのところにヤバいものが映り込んでいる」ような工夫もありましたし、音でこそ恐ろしい事態を「想像させる」場面もあったりするのです。

それぞれの演出は、本編の一部を切り取るだけでは伝わりきらないものです。映画館で集中して見るからこそ、真の恐怖として受け取れるでしょう。

4:新星インディ・ナヴァレッテの“境界が揺らぐ”熱演

本作でヒロインを演じたインディ・ナヴァレッテが、本作のMVPと断言していいでしょう。序盤こそサバサバした印象のある、気の良い女性だったはずなのに、坂道を転げ落ちるようにヤンデレ化していく過程で、”まともな人”と“狂気が現出する”という境界が揺らいでいく様が、本作でもっとも恐ろしく感じたのですから。
オブセッション
(C) 2026 Focus Features LLC. 
ちなみに、インディ・ナヴァレッテは本作の出演以前にゲーム実況者としても活躍しており、その過去の配信映像が再投稿され、その再生数が100万回を超えていたりもします。もちろん、本作の大ブレイクにより、今後の超大作への出演も期待できるでしょう。
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