1:めちゃくちゃ感情移入しやすい導入! ある意味で『超かぐや姫!』だった
本作のあらすじをかいつまんでいえば「故郷で戦争が起こったために地球に送られた王子が青年へ成長して、故郷へ帰還し平和を取り戻そうとする」というもの。序盤では主人公が社会人として生活をしていながらも、地球にあるはずの“力の剣”を探し続けている……という過程が丹念に描かれるのですが、それがなんともいじらしくて愛らしいのです。
「僕は他の惑星の王子で、本来であれば力の剣を持っていたし、あの世界に戻るべきだと思うんだけどなぁ……」という渇望はとても共感しやすいですし、「平凡なサラリーマンが強大な力を持つヒーローだった」流れは1999年の映画『マトリックス』も連想します。
日本でも人気のジャンル「異世界転生もの」に近い導入部でもあり、はじめに観客の立場に極めて近い「平凡な日常」が描かれるからこそ、主人公と同じ視点で物語を追うことができるのです。また、本当は宇宙人である存在への戸惑いや、予想外の事態にあたふたするコメディ要素は、超人気を博したアニメ映画『超かぐや姫!』を思い出したりもしました。
キャラクターそれぞれの愛らしい掛け合いも両者は共通していますし、「えっ!? そんなことになるの?」な驚きの展開にも期待してほしいです。
2:ニコラス・ガリツィンという名前をとにかく覚えて! ギャップ萌えもすごい
本作で何よりも覚えていただきたいのは、主演のニコラス・ガリツィンの名前です。彼こそが次世代のスーパースターになり得る(もうなっている)才能と魅力を持ち合わせる、素晴らしい俳優なのですから。
すでに実績も十分で、2021年のAmazonプライムビデオ映画『シンデレラ』で王子役、2022年のNetflix映画『パープル・ハート』でも主演、さらに2024年のAmazonプライムビデオ映画『アイデア・オブ・ユー 大人の愛が叶うまで』ではアン・ハサウェイの恋人役、そして5月に公開されたばかりの『ひつじ探偵団』でも準主人公的な存在の記者を演じていました。

今回の『マスターズ・オブ・ユニバース』では、1日およそ4000kcalの食事で増量してトレーニングを重ね、本気の肉体改造を経て撮影に挑んだのだとか。アクションの多くで本人がスタントをこなしており、戦闘のアクションのテクニカルさはトラヴィス・ナイト監督から「バレエやダンスのようだ」と称賛されたそうです。
何しろ主人公は後述するように、元ネタからして“マッチョ”を体現するようなキャラクターなので、見た目の説得力というは本作の絶対条件かつもっとも高いハードルとさえ言えるのですが、彼は努力と才能で見事にクリアーしていたのです。

それでいて、ガリツィンは強靭(きょうじん)な肉体と相対するような繊細さや優しさを醸し出しており、言動や一挙一動から「こいつ、絶対いいやつじゃん!」と思わせ、心から応援したくなるのです。さらには序盤のバタバタしたコメディーシーンでは「わりとダメだなこの人!」ともなり、それもまた見た目のイケメンっぷりとのギャップでキュンキュンするのです。
実際にナイト監督は、ガリツィンをキャスティングした理由の一部として、「本当に心優しい人で、アダム(主人公)的な部分は自然とにじみ出ています」と、彼自身がすでにキャラクターの特質を内面に持っていたことを挙げています。
キャラクターと同様に、演じている俳優もまた思慮深くて誠実だということを、実際の本編からも感じてみてほしいです。

さらに、女戦士役のカミラ・メンデスとの掛け合いも楽しいですし、彼女の父親としての意外な姿を見せるイドリス・エルバ、劇中でまったく素顔を見せないのに威圧感のある悪役の(ちょっとコミカルでもある)ジャレッド・レトなど、ベテランの俳優陣もとても豪華。若手のガリツィンとの「化学反応」にも期待してほしいです。



