子どもたちの試行錯誤
実際、イベントの最中にはいろいろなことが起こりました。小1と小2の2人組が企画したキャンディレーンのお店は、作り方のワークショップも同時開催するという子どものアイデアも当たって、用意した商品が売り切れになる大盛況。その一方で隣のダンス教室は全く人が集まらないという事態に陥ったのです。
人が集まらなくても、何も行動を起こせない子どもたち。しかし、美由紀さんたちは口を出さず見守りました。
昼頃ようやく子どもたちから相談に来たので、初めて「いったん外に出て、他の店と自分たちの店を比べて何が違うかを考えてみたら」と提案したそうです。
すると、他の店と比べて地味で何をしている店なのか分かりにくいということに気づいた子どもたちは、看板の位置を変え、呼び込みを兼ねて外のテラスでダンスを踊って見せるなど工夫をしました。するとその結果、次第にお客さんが来てくれるようになり、最終的には収益をあげることができました。
このように、子どもたちは体験を通して、自分で考え行動する力をつけていったのですが、外からはそういうことが見えなかったのでしょうね。
兎にも角にも、当初の予想以上の成果を上げたキッズタウンの取り組みですが、その後コロナによって、次の開催を断念せざるを得ない事態になりました。それでも、諦められない子どもたちの声に押されて、なんとかできないかと何度も会議を重ねてアイデアを出し合い、インスタライブで販売を試みたことも。
その後も、その時々でできる範囲で小規模開催を重ねていきました。
リアルイベント「チッチェーノ・チッタ2024」開催決定!
そして、最初のイベントから6年。2024年の3月2日にいよいよリアルで「チッチェーノ・チッタ2024」が開催できることになったのです。
9月からメンバーを募集し、子ども会議を繰り返していますが、その中で商売ではなく街のために何かしたいという子どもたちがいて、商売・お仕事体験のほかに街づくりというテーマが加わりました。
今回の会場は、たまプラーザ駅から程近い、美しが丘公園の野球グラウンド。初回よりずっと大きなスペースに、子ども店舗14店舗のほか、市役所、税務署、ラジオ局などの公共施設、お買い物ができるお店やフードコートなどの大人出店が約40店舗とさまざまなお店で1つの街を作ります。
他にも大人向けの「チッチェーノ大学」や未就学児向けには「チッチェーノ幼稚園」もあり、小学生だけでなく多世代が楽しめるイベントになっています。
チッチェーノ大学の企画を考えたのは小学4年生。講師を依頼する際の注意点を聞かれたので教えたけれど、講師の選定から依頼まで全て子どもたちが担っているそうです。
「半年間の準備期間の中で、すでに子どもたちの変化を感じている」と美由紀さん。子どもたちの発想がどんどん広がり、まだまだ企画が上がってきているとか。そんな子どもたちの頑張りを見て、地元商店街、警察、消防、青葉区役所、地域のラジオ局、東京ガスなど公共機関や企業、地元の学校や大学も協力。来場数2000人〜3000人規模の大イベントになりそうとのこと。