AIに負けない子の育て方 第6回

幼児レベルから、わずか半年で英語の原書を読むまでに! 高槻中学高等学校の「多読多聴」な英語授業

英語力を測る国際的指標で、日本は「英語力が低い地域」の下位に該当。アジア諸国の中でも下から2番目という低さです。そんな中、わずか半年で幼稚園レベルから、英語の原書を読むまでになった生徒を輩出している学校がある。そこで行われている教育とは?

【連載:AIに負けない子の育て方ーVol.6ー】

世界113か国中87位。なぜ日本の英語力はこんなにも低いのか

日本の英語教育に課題があることはよく言われていますが、今の日本の英語力は国際比較でどのくらいか知っていますか?

ここに1つ、こんなデータがあります。イー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)が行っている英語能力ベンチマーク「EF EPI英語能力指数」で、日本は世界113か国中87位。5年連続で順位を落としていて、「英語力が低下している地域」の下位に該当する結果になってしまっています。

1位はオランダ。同じアジア圏では、シンガポールが2位、マレーシアが25位、韓国が49位、ベトナムが58位、中国82位。日本は、アジアの中でも下位になっているのです。同様に、TOEFL(R)TESTの平均スコアでもアジア諸国の中で下から2番目という低さです。

日本では中、高、大と10年間も勉強しているのに、この結果はなぜなのか。これはやはり、英語教育の方法が間違っていると言わざるを得ないでしょう。

大きな理由として、日本では英語がコミュニケーションツールではないこと、高校受験や大学受験など受験対策に偏った英語教育が行われていることが原因と考えられています。文法や単語学習、読み書きばかりの受験対策を行うことに力を入れた結果、世界基準で検証すると、英語の能力レベルが低い国になってしまっているのは事実だと思います。

そこで、教育改革の1歩として大学入試改革に手がつけられた訳ですが、2020年度から始まる大学入学共通テストで予定されていた英語民間試験の活用が見送られ、迷走している感が否めません。

その一方で、小学校では2011年から英語が5、6年生の必修科目となり、年間35単位という授業時数が確保されるように。2020年には新学習指導要領によって3、4年生の時点で年間35単位時間の授業が割り当てられ、5、6年生では成績にも反映される教科になりました。

しかし、英語教育の専門家でもない日本の先生が中心となって教えるこの取り組みがどこまで効果があるかは疑問視されています。
「EF EPI英語能力指数」で、日本は世界113か国中87位
「EF EPI英語能力指数」で、日本は世界113か国中87位という結果に

多読多聴で英語力アップ! 高槻中学高等学校の取り組み

グローバル化がますます進展し、日本の中にいても日常会話レベルの英会話力が必須となりつつある今、どうすれば日本の子どもたち(だけでなく大人もですが)の英語力は伸ばせるのでしょうか。

今回、4技能(「聞く(リスニング)」「話す(スピーキング)」「読む(リーディング)」「書く(ライティング)」)を育む英語教育を20年以上にわたって研究実践してこられた鬼丸晴美先生から、「生徒たちの英語力が伸びているので見に来て」というご連絡をいただき、勤務校の私立高槻中学高等学校に伺ったので、その様子をお伝えしましょう。
 
高槻中学高等学校には中等教育としては日本一と言っても良い図書館があります。鬼丸先生は、前勤務校でも素晴らしい図書館を監修され、長く多読多聴を実践されてきましたが、これまでの集大成として、高槻中学高等学校に赴任され、図書館の監修と英語教育の改革に取り組み、現在は英語の授業の一環として多読多聴のクラスを担当しています。

学びの森」と呼ばれる図書館は、ヨーロッパの名門大学の図書館をモデルにした格調高いしつらえで、1歩入るとまるで別世界。そこにいるだけで知の森に浸っている感覚になります。その中の「森の横丁広場(アクティブラーニングコモンズ)」で多読の授業が行われていました。
監修した高槻中高の図書館を案内する鬼丸はるみ先生
監修した図書館を案内する鬼丸晴美先生
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中学校に入ってわずか5カ月で、500ページ近い原書を読めるようになるわけ
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