ここがヘンだよ、ニッポン企業 第16回

「ビッグモーター」の不正に学ぶ、超えてはいけない一線とは

ビッグモーターの不正が次々と明るみになっている。なぜ同社は足を踏み外してしまったのか。今回の件から日本企業が学べることとは。

不正が発覚する企業に共通すること

なぜこんなことが言えるのかというと、この10年あまりで不正が発覚した企業というのは往々にして、このパターンだからだ。拡大路線に突き進むが結果が出ないので、管理職を恫喝(どうかつ)したり、現場は精神論を押し付けてどうにかして結果を出させようとする。
 

しかし、人口が減って市場がシュリンクしているので、何をどうしても結果が出ない。そこでやるのは「数字合わせ」だ。ある大企業は管理職が利益のかさ上げをしてしまう。ある企業はコスト削減のために、賃貸住宅の不正建築に手を染めてしまう。
 

そういう形で、破綻した「拡大路線」のツケを支払う形で、現場が不正するというパターンは枚挙にいとまがない。ビッグモーターの場合はそれが保険金不正請求だったというだけの話だ。

拡大路線により失敗しているケースは多い(画像はイメージ)

近年、「賃上げ」や「生産性向上」が多く叫ばれていることからも分かるように、消費者と労働者が減っていく日本で、企業が生き残るためには、1つ1つの「価値」を向上していくしかない。つまり、全国に店舗網を広げるなんていう「拡大路線」は絶対に超えてはいけない一線なのだ。ビッグモーターの失敗から、日本企業が学ぶことは多い。


<最初から読む

 

この記事の筆者:窪田 順生
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライター。また、報道対策アドバイザーとしても、これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行っている。  


 
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    静岡の名所をぐるり。東海道新幹線と在来線で巡る、「富士山」絶景ビュースポットの旅

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『グラディエーターII』が「理想的な続編」になった5つのポイントを解説。一方で批判の声も上がる理由

  • アラサーが考える恋愛とお金

    「友人はマイホーム。私は家賃8万円の狭い1K」仕事でも“板挟み”、友達の幸せを喜べないアラサーの闇

  • AIに負けない子の育て方

    「お得校」の中身に変化! 入り口偏差値と大学合格実績を比べるのはもう古い【最新中学受験事情】