ここがヘンだよ、ニッポン企業 第16回

「ビッグモーター」の不正に学ぶ、超えてはいけない一線とは

ビッグモーターの不正が次々と明るみになっている。なぜ同社は足を踏み外してしまったのか。今回の件から日本企業が学べることとは。

当時からSNSなどでは話題に

実は当時、インターネット掲示板やSNSでは既に同社の「罰金」は話題になっていた。それを『産経新聞』が取材したという流れだ。一般論だが、内部からこういう問題が漏れ伝わっているときというのは、現場の不満がかなり高まっているときなのだ。

「罰金」制度が話題に(画像はイメージ)

この報道後、ビッグモーターは現金の授与は禁止すると発表した。しかし、2016年以降も拡大路線は続いていく。この年ほどではないが2017年には50店、2018年も32店がオープンしている。
 

筆者はこのあたりからビッグモーターの現場では「不正請求」が「平常運転」になっていったのではないか、と考えている。
 

店舗数は右肩上がりで増えていく。この拡大路線を維持するためにも、現場には厳しいノルマが課せられていったはずだ。
 

しかし、ご存じのように日本は人口減少で毎年、鳥取県と同じ人口が消えていく。しかも少子化とカーシェアリングの普及もあって、中古車を買う若者も激減している。
 

当初、現場は精神論や根性論で戦ったはずだ。だからこそ、あの「罰金」のようなペナルティも意味があった。10万円を払いたくない店長は死に物狂いで契約を取り付ける。部下たちの尻を叩いて、数字をつくったはずだ。
 

しかし、2016年の報道でそれも禁止された。このように精神論や根性論でも解決できなくなると、人はどうするのかというと、「不正」に走る。それが修理部門の場合、保険金の不正請求という形だったのではないのか。
 

>次ページ:不正が発覚する企業に共通すること
 

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