当時からSNSなどでは話題に
実は当時、インターネット掲示板やSNSでは既に同社の「罰金」は話題になっていた。それを『産経新聞』が取材したという流れだ。一般論だが、内部からこういう問題が漏れ伝わっているときというのは、現場の不満がかなり高まっているときなのだ。
この報道後、ビッグモーターは現金の授与は禁止すると発表した。しかし、2016年以降も拡大路線は続いていく。この年ほどではないが2017年には50店、2018年も32店がオープンしている。
筆者はこのあたりからビッグモーターの現場では「不正請求」が「平常運転」になっていったのではないか、と考えている。
店舗数は右肩上がりで増えていく。この拡大路線を維持するためにも、現場には厳しいノルマが課せられていったはずだ。
しかし、ご存じのように日本は人口減少で毎年、鳥取県と同じ人口が消えていく。しかも少子化とカーシェアリングの普及もあって、中古車を買う若者も激減している。
当初、現場は精神論や根性論で戦ったはずだ。だからこそ、あの「罰金」のようなペナルティも意味があった。10万円を払いたくない店長は死に物狂いで契約を取り付ける。部下たちの尻を叩いて、数字をつくったはずだ。
しかし、2016年の報道でそれも禁止された。このように精神論や根性論でも解決できなくなると、人はどうするのかというと、「不正」に走る。それが修理部門の場合、保険金の不正請求という形だったのではないのか。