ここがヘンだよ、ニッポン企業 第16回

「ビッグモーター」の不正に学ぶ、超えてはいけない一線とは

ビッグモーターの不正が次々と明るみになっている。なぜ同社は足を踏み外してしまったのか。今回の件から日本企業が学べることとは。

不正が明らかとなった「ビッグモーター」(画像出典:yu_photo / Shutterstock.com)

ビッグモーターが大炎上している。
 

内部告発を受けて、第三者委員会が調査をしたところ、修理車両に意図的な傷を付けるなどして保険金を不正に水増し請求していた問題が発覚。その後もメディアに社員や元社員が登場して同社の問題を指摘するという「告発ドミノ」が起きているのだ。
 

そんな炎上状態に、灯油をぶっかけた形になったのが、兼重宏行社長が社員に呼びかけた社内LINEの流出だ。ここで社長が「メディアの常として、全社員の2%に満たない一部のBP社員の過去の不祥事でも、世間の関心を集めるために、会社全体の組織ぐるみだと決めつけて報道しています」と述べていることが「他人事っぽい」「反省していない」など批判されてしまったのだ。
 

7月25日には会見を行い、兼重宏行社長が7月26日付で辞任すると発表。しかし事態を重く見ている国土交通省は7月26日にビッグモーター側から聞き取り調査を行う予定もあり、まだまだ「鎮火」の見通しは立っていない。
 

危機管理のプロから見たビッグモーターの根本原因

では、有名俳優を起用したテレビコマーシャルをバンバン流して、「6年連続買取台数日本一!」なんて景気のいい話を触れ回っていたビッグモーターが、なぜこんなひどいことになってしまったのか。
 

利益至上主義の社内カルチャーが悪い、中古車販売業界の悪習が悪い、コロナ禍が悪い、いつまでも日本経済を良くしない政治が悪い……などなどいろいろな見立てがあるだろうが、報道対策アドバイザーとしてこの手の企業不正を嫌というほど見てきた立場から言わせていただくと、本質的な部分でトリガーになった原因はいたってシンプルだ。
 

それは「拡大路線」だ。
 

>次ページ:「前兆」があった
 

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    外国人観光客向け「二重価格」は海外にも存在するが……在欧日本人が経験した「三重価格」の塩対応

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『猫の恩返し』が大好きな人に見てほしい。最新「猫映画」5作品でほっこり癒されまくろう

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    東海道新幹線の「個室」が100系以来、四半世紀ぶりに復活! 「どこに設けられる?」JR東海に聞いた

  • AIに負けない子の育て方

    多様化する中学受験…実施校が爆増した「新タイプ入試」「英語入試」に受かるのはどんな子か