「ビッグモーター」の不正に学ぶ、超えてはいけない一線とは

ビッグモーターの不正が次々と明るみになっている。なぜ同社は足を踏み外してしまったのか。今回の件から日本企業が学べることとは。

不正が明らかとなった「ビッグモーター」(画像出典:yu_photo / Shutterstock.com)

ビッグモーターが大炎上している。
 

内部告発を受けて、第三者委員会が調査をしたところ、修理車両に意図的な傷を付けるなどして保険金を不正に水増し請求していた問題が発覚。その後もメディアに社員や元社員が登場して同社の問題を指摘するという「告発ドミノ」が起きているのだ。
 

そんな炎上状態に、灯油をぶっかけた形になったのが、兼重宏行社長が社員に呼びかけた社内LINEの流出だ。ここで社長が「メディアの常として、全社員の2%に満たない一部のBP社員の過去の不祥事でも、世間の関心を集めるために、会社全体の組織ぐるみだと決めつけて報道しています」と述べていることが「他人事っぽい」「反省していない」など批判されてしまったのだ。
 

7月25日には会見を行い、兼重宏行社長が7月26日付で辞任すると発表。しかし事態を重く見ている国土交通省は7月26日にビッグモーター側から聞き取り調査を行う予定もあり、まだまだ「鎮火」の見通しは立っていない。
 

危機管理のプロから見たビッグモーターの根本原因

では、有名俳優を起用したテレビコマーシャルをバンバン流して、「6年連続買取台数日本一!」なんて景気のいい話を触れ回っていたビッグモーターが、なぜこんなひどいことになってしまったのか。
 

利益至上主義の社内カルチャーが悪い、中古車販売業界の悪習が悪い、コロナ禍が悪い、いつまでも日本経済を良くしない政治が悪い……などなどいろいろな見立てがあるだろうが、報道対策アドバイザーとしてこの手の企業不正を嫌というほど見てきた立場から言わせていただくと、本質的な部分でトリガーになった原因はいたってシンプルだ。
 

それは「拡大路線」だ。
 

>次ページ:「前兆」があった
 

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