ヒナタカの雑食系映画論 第13回

映画『スラムダンク』で注目される「無音演出」。あえて“セリフなし”の無音シーンが重要な作品を厳選

大ヒット上映中のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』と同様に、「無音」のシーンが重要な映画をまとめました。聴覚障がい者の気持ちに寄り添うドラマ、ハラハラドキドキのサスペンスホラー、ジブリ映画などに分けて紹介します。

※画像出典:(C)1989 角野栄子・Studio Ghibli・N

観客を物語に引き込む要素として、「無音演出」を効果的に取り入れた映画作品は多いものです。いずれも、外出中や移動中にスマホやタブレットで観るのでなく、なるべく静かな部屋で、ヘッドホンや高性能のスピーカーがある環境で観てこその感動があることでしょう。
 

映画『THE FIRST SLAM DUNK』を大ヒットたらしめた“無音演出”

2023年1月下旬現在、アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』が8週連続で週末の興行収入ランキング首位を記録、興行収入は100億円間近という大ヒットを遂げています(興行通信社調べ)。
 

作品評価も極めて高く、原作の絵がそのまま動いている衝撃、選手それぞれのリアルな動き、3DCGアニメだからこそ「空間」で表現される試合の迫力など、絶賛ポイントは枚挙にいとまがありませんが、ここでは「無音」の演出の素晴らしさを推します。

「一部(または全て)の音や声が聞こえなくなること」で、観客は試合の映像にだけ集中して「固唾(かたず)を飲んで見守る」ことができ、それは選手の「研ぎ澄まされた感覚」を演出しているようでもあったのですから。

 

『THE FIRST SLAM DUNK』と同様に、「無音(またはセリフなし)」のシーンが重要な映画はほかにもあります。競技を題材とした映画であれば『ちはやふる -結び-』(U-NEXTで見放題)も同様に、試合のあるポイントで無音の演出があるからこその感動がある作品でした。

では、「無音演出」が重要な映画について、作品の種類ごとに見ていきましょう。ハラハラドキドキのサスペンスホラー、あの“ジブリ映画”にも無音シーンがあるのです。


>次のページ:アカデミー賞受賞作品も……聴覚障がい者の気持ちに寄り添うドラマ


※各動画配信サービスの情報は執筆時(2023年1月30日現在)のものです。最新の内容をご確認ください。


【おすすめ記事】
「予告詐欺」な映画とは? コナンやしんちゃん…良い意味で本編とギャップがある“歴史的な予告編”を考察
映画ポスターの「右肩上がり手書き文字」はなぜ流行っている? 作品の“エモさ”を引き出す理由を分析してみた
『すずめの戸締まり』の“まるで時刻表”な上映回数に賛否。大作の優遇は「仕方がない」ことなのか
たしかに「新海誠っぽい」ポスターは増えたけど…『君の名は。』以降の青春SFアニメ映画の“現在地”
「R15+」と「R18+」の線引きはどこ? 子ども向けでもPG12? 意外と知らない「映画のレイティング」の基準
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    静岡の名所をぐるり。東海道新幹線と在来線で巡る、「富士山」絶景ビュースポットの旅

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『グラディエーターII』が「理想的な続編」になった5つのポイントを解説。一方で批判の声も上がる理由

  • アラサーが考える恋愛とお金

    「友人はマイホーム。私は家賃8万円の狭い1K」仕事でも“板挟み”、友達の幸せを喜べないアラサーの闇

  • AIに負けない子の育て方

    「お得校」の中身に変化! 入り口偏差値と大学合格実績を比べるのはもう古い【最新中学受験事情】