観客を物語に引き込む要素として、「無音演出」を効果的に取り入れた映画作品は多いものです。いずれも、外出中や移動中にスマホやタブレットで観るのでなく、なるべく静かな部屋で、ヘッドホンや高性能のスピーカーがある環境で観てこその感動があることでしょう。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』を大ヒットたらしめた“無音演出”
2023年1月下旬現在、アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』が8週連続で週末の興行収入ランキング首位を記録、興行収入は100億円間近という大ヒットを遂げています(興行通信社調べ)。作品評価も極めて高く、原作の絵がそのまま動いている衝撃、選手それぞれのリアルな動き、3DCGアニメだからこそ「空間」で表現される試合の迫力など、絶賛ポイントは枚挙にいとまがありませんが、ここでは「無音」の演出の素晴らしさを推します。
「一部(または全て)の音や声が聞こえなくなること」で、観客は試合の映像にだけ集中して「固唾(かたず)を飲んで見守る」ことができ、それは選手の「研ぎ澄まされた感覚」を演出しているようでもあったのですから。
『THE FIRST SLAM DUNK』と同様に、「無音(またはセリフなし)」のシーンが重要な映画はほかにもあります。競技を題材とした映画であれば『ちはやふる -結び-』(U-NEXTで見放題)も同様に、試合のあるポイントで無音の演出があるからこその感動がある作品でした。
では、「無音演出」が重要な映画について、作品の種類ごとに見ていきましょう。ハラハラドキドキのサスペンスホラー、あの“ジブリ映画”にも無音シーンがあるのです。
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※各動画配信サービスの情報は執筆時(2023年1月30日現在)のものです。最新の内容をご確認ください。
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