ヒナタカの雑食系映画論 第13回

映画『スラムダンク』で注目される「無音演出」。あえて“セリフなし”の無音シーンが重要な作品を厳選

大ヒット上映中のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』と同様に、「無音」のシーンが重要な映画をまとめました。聴覚障がい者の気持ちに寄り添うドラマ、ハラハラドキドキのサスペンスホラー、ジブリ映画などに分けて紹介します。

聴覚障がい者の気持ちに寄り添うドラマ

まずは、「音が聞こえなくなる」演出で、聴覚障がいを持つ登場人物の「主観」を示している、その気持ちに寄り添っているドラマ映画を紹介しましょう。
 

■『コーダ あいのうた』


アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞の3部門を受賞した、実際に聴覚障がい者である俳優たちが出演する、家族のドラマです。終盤のコンサートで「シンクロする」ように音が聞こえなくなる演出に大きな感動がありました。Amazonプライム・ビデオで見放題です。
 

■『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』


アカデミー賞で編集賞と音響賞を受賞した作品。聴力の回復の見込みがなく自暴自棄となったドラマーの青年が、ろう者の支援コミュニティへ参加するドラマが紡がれています。どんな瞬間で無音となるのかは秘密にしておきますが、それは主人公の「希望」そのものを表しているかのようでした。Amazonプライム・ビデオのオリジナル作品です。
 

■『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』


長野五輪におけるテストジャンパーたちの実話を元にしたドラマです。山田裕貴演じる青年は聴覚障がい者で、無音の演出があってこそ、直後のある声が「聞こえる」シーンの感動を倍増させてくれました。なお、予告編ではまるで自己犠牲を賛美しているような印象も受けるかもしれませんが、本編ではそんなことはないのでご安心を。Netflixで見放題です。


※各動画配信サービスの情報は執筆時(2023年1月30日現在)のものです。最新の内容をご確認ください。


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