映画ライターが選ぶ、良い意味での予告詐欺な映画はこれだ!
そんなわけで、賛否両論を呼ぶケースはあれど、良い意味での予告詐欺のケースの方を多く紹介してきたわけですが……ひと口に「予告詐欺」と言っても、多様なパターンがあることがお分かりいただけたでしょうか。最初に挙げた『ベイマックス』は、ファミリー層へのアプローチとしても理解できますし、それぞれで「こう売り出して行きたい」という送り手の気持ちが垣間見えることにも面白さがあります。
何より、映画は「予想しなかった驚き」に面白さがあるもの。予告編の印象だけでなく、+αのサプライズが本編にあるとうれしい気持ちになる、それもまた映画の醍醐味(だいごみ)なのではないでしょうか。そのことを踏まえ、筆者の個人的No.1の、良い意味での予告詐欺はこちらでした。
■『屍人荘の殺人』
予告ではポップな探偵ものと思いきや、まさかの……(本編のネタバレになるので自粛)! そのサプライズも含めて賛否両論の作品になっています。それでいて「前代未聞の密室殺人なんだよ」というセリフ、「事件は、想像を絶する事態へ」という触れ込みには、全くうそ偽りはありません。予告でかかるPerfumeの主題歌『再生』も、本編のあの展開の伏線だったのかも……?
原作小説はベストセラーなので、事前に内容を知っている人もいるでしょうが、何も知らない人は事前情報なしで観ることをおすすめします。本編を観た後だと、この予告がいかにうまく「隠している」のかが分かり、感動すらしました。
その他、この記事に入りきらない「予告詐欺」の例は筆者のこちらのツイートのリプにたくさんいただきました。ぜひ、まだ観ぬ面白い予告詐欺を、さらに楽しんでみてください。
>記事を最初から読む
【おすすめ記事】
・『すずめの戸締まり』の“まるで時刻表”な上映回数に賛否。大作の優遇は「仕方がない」ことなのか
・映画ポスターの「右肩上がり手書き文字」はなぜ流行っている? 作品の“エモさ”を引き出す理由を分析してみた
・たしかに「新海誠っぽい」ポスターは増えたけど…『君の名は。』以降の青春SFアニメ映画の“現在地”
・いい意味で“居心地が悪くなる”名作? 2022年公開の「有害な男性性」を描いた映画作品を振り返る
・スラダン、すずめ、トップガンだけじゃない。似たテーマの「同日公開」が豊作だった2022年映画を総括!