世界を知れば日本が見える 第8回

イーロン・マスク氏の「香水」はなぜ売れた? スターリンクを巡る物議も計算通りか

イーロン・マスク氏が発売した香水「Burnt Hair(燃えた髪)」が約1週間で2万8700本も売れたという。Twitter買収劇やスターリンクを巡る物議を見ると、香水の発売はタイミングが良すぎるとの指摘もあるが……。

マスク氏側の負担は

現在、ウクライナには2万台ほどのスターリンクが設置されている。ただその約85%は、アメリカとイギリス、そしてポーランドがコストを支払っている。
 

国別で見ると、ポーランドが約9000台分を支払い、アメリカが約1700台分を支援している。マスク氏側は、衛星インターネット接続料金の約75%を負担しているという。ちなみにスターリンクの開発には、米軍も資金を提供している。
 

とにかくこうした話題で、再び世界の目が一気にマスク氏に注がれることになったのである。
 

そして十分にマスク氏の話題があった11日には、香水「焼けた髪」が発売になり、そこからしばらくの間、ウクライナの件で引き続きニュースの話題をさらっていた。香水の発売はタイミングが良すぎるという指摘もあるが、それも決してうがった見方ではないだろう。筆者も、全てはマスク氏の筋書き通りなのではないかと見ている。
 

こう見ると、実はマスク氏の言動というのは非常に分かりやすいのかもしれない。世界で最も裕福な人物に身1つで成り上がっただけのことはある、ということだろう。


山田 敏弘プロフィール
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。

国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)。近著に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)がある。

Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル
 

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