意外と知らないグルメのひみつ 第5回

お米はなぜ「洗う」ではなく「研ぐ」と言うの? 研がずに炊いたらどうなる?【グルメライターが徹底解説】

【調理師免許を持つグルメライターが解説】精米技術が発達した今、お米は昔のように力を入れて研ぐのではなく、手早く優しく「研ぎ洗い」をするだけでOK! 現在のお米に見合った洗い方を実験を交えて詳しく紹介します。

私たちの食生活に身近な「お米」。無洗米もありますが、基本的に食べる前にはお米を研いで炊く作業が必要です。そもそもお米はなぜ、“洗う”ではなく“研ぐ”というのでしょうか?

今回は、調理師免許を持つグルメライターの筆者が、おいしいお米の炊き方を紹介するほか、「白米を研がずに炊いたらどうなるか?」も試してみたいと思います。

 

お米を「洗う」ではなく「研ぐ」という理由


お米を「研ぐ」。これは、お米同士を“こすり合わせる”ように洗うことをいいます。

お米は稲刈りを終えた後、籾(もみ)と稲わらの部分とに分けられます。その後、籾がらを取り除き玄米にする「籾すり」、玄米から白米にする「精米」作業が行われます。

 


白米は上記のイラストで「胚乳(はいにゅう)」部分にあたります。玄米にはこの胚乳の周りに3層からなる「糠層(ぬかそう)」が付いており、それを削り取ったものが白米となります。

しかし、昔の精米技術ではきれいに取り除くことが難しく、白米の表面に糠がたっぷり残っていました。だから、ギュッギュッと強くこすり合わせるように洗い、糠を削ぎ落とす必要があったのです。

本来「研ぐ」とは、刃物を砥石(といし)などにこすり合わせてよく切れるようにする行為のこと。お米同士もこすり合わせて洗うことから「研ぐ」と呼ばれるようになったと思われます。
 

精米技術が向上した現在、お米は「優しく研ぐ+軽く洗う」でOK!


しかし今では精米技術が格段に進歩したため、市販されている白米には糠がほとんど残っていません。そのため、昔のように強く研がなくてもOK!

精米装置でも取り切れない、お米の表面にうっすら残る粘着質な「肌糠(はだぬか)」を取り除くために「優しく研ぐ」。そして、軽いホコリなどを取りのぞく程度に「軽く洗う」を組み合わせるのがおすすめです。
 


昔のようにギュッと力を入れて研いでしまうと、お米が割れてしまいます。割れた状態で炊くとお米のでんぷん質が水に溶け出し、ベタッとした炊き上がりになりますので注意しましょう。

 

お米をおいしくする「研ぎ洗いの方法」


白米は傷つきやすい状態。優しく、手早く扱うことが大切です。洗う前のお米は乾燥しており、水をグッと吸いやすい状態。糠の匂いを吸着させないよう、最初は全体的にお米を濡らし、サッと流します。
 

実際にお米を洗うのは次に水を注ぎ入れてから。指を立てて回すように、20回程度混ぜたら水を流しましょう。もう一度優しく繰り返したら、洗う作業はここで終わり。その後は水を流し入れ、すすぎの作業を2~3度行ったら完了です。
 
水がある程度白く濁っていても大丈夫。透明になるまでお米を洗ってしまうと、うまみ成分まで流してしまうことになります。
 

洗い終わった直後のお米は半透明。その後、夏は30分、冬は1時間程度浸水させると、お米がしっかり水を吸って、ふっくらと白く変わります。
 



>(次ページ)お米を研がずに炊いたらどうなる? 実際に試してみた


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