5:賛否両論に納得できる難点も
ここまで『スーパーガール』を称賛しましたが、残念ながら問題点が少なからず見受けられる作品でもありました。実際にアメリカの批評サービスRotten Tomatoesでの批評家支持率は58%(6月26日現在)とまさに賛否両論で、日本でもやや厳しい感想が散見されています。個人的には意図的にせよ「我慢」を強いる展開が多いことが気になりました。例えば、スーパーガールは「地球の黄色い太陽によってスーパーパワーを得るが、赤い太陽の光の下ではそれを失ってしまう」という「力を発揮できる条件」があります。
その「弱点」が確かに「ようやく全力を出せる」までの展開につながっているものの、それまでの時間がやや長め、アイデアは多彩ながらシチュエーションが多めで、結果的に全体の爽快さを薄めてしまっているように思えます。そもそも、「天候」というキャラクターの行動にほぼ寄与しない出来事で強さが変わるため、せっかくの終盤のカタルシスも損ねているとも思うのです。
演出または物語上で淡白なところがあるのも気になります。例えば「腕相撲の後の大乱闘」は、こちらも意図的なものにせよ「あえて見せない」演出をしたことが面白さにつながっていません。
また、中盤で起こる、取り返しのつかない悲劇に対してのリアクションがあっさりしすぎていて、冒頭の出来事とのバランスが取れていないと思えてしまいました。
また、前作で大活躍したスーパーパワーを持つ犬のクリプトは、仕方がないこととはいえ「毒を撃たれて、ただ待っているだけの存在」になっています。多少の物語上の無理が出ても、クリプトを活躍させるためのサービスはあっても良かったのではないでしょうか。
前述したように『マッドマックス』的であり西部劇的でもある雰囲気、クレイグ・ギレスピー監督の作家性にマッチした物語、ミリー・オールコックやジェイソン・モモアやイヴ・リドリーの熱演など、優れた特徴の多い作品であるのですが、それでも万人が文句なしに楽しめる作品とは言い難い、というのはヒーロー映画のファンである自分としても心苦しいものでした。
しかし、「このために、この物語はあったんだ」と思えたクライマックスの画には大いに感動できましたし、「復讐」のテーマに向き合った物語としても、しっかり筋が通っているとも思えました。
この記事の執筆者:
ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
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