ヒナタカの雑食系映画論 第231回

『スーパーガール』が「思っていたのとは違った」映画になった5つの理由。前作『スーパーマン』は見ておくべき?

映画『スーパーガール』は「見る前のイメージとは異なる」特徴のある作品だと思えました。『マッドマックス』のような世界観や、クレイグ・ギレスピー監督の作家性などに、その理由があると思うのです。(※:画像出典: (C) & TM DC (C) 2026 WBEI)

3:『アイ,トーニャ』『クルエラ』の監督の作家性にマッチしている

前作『スーパーマン』から大きく作風が変わった大きな理由は、監督がジェームズ・ガンからクレイグ・ギレスピーへとバトンタッチしたことにもあるでしょう。

特に、ギレスピー監督の『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』および『クルエラ』の内容に、本作はかなり近いと言えます。
何しろ『スーパーガール』で紡がれる物語は、「自由気ままな暮らしをしていた女性が、毒に侵された愛犬を救うために悪党を追いかけ、その旅路に復讐を誓う少女も同行する」というもの。「利害の一致」でつながる2人の「バディもの」であり、今どきの女性の連帯を描く「シスターフッド」のジャンルでもあるのです。

しかも、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』と『クルエラ』は、どちらも「社会からのは見出し者」または「誤解されている人物」が結託する物語であり、同時に権威や体制、はたまた自身の塞ぎ込んでいた人生への「反骨精神」も表れた作品でした。
スーパーガール
(C) & TM DC (C) 2026 WBEI
その作家性は、今回の『スーパーガール』における、初めの「ヒーローのはずなのに酒場で飲んだくれていているダメな姿」と、それと相対するような悪党の非道の行いを許さない正義感、あるいは復讐を誓った少女への思いやりなどに通じています。

ギレスピー監督自身、今回のスーパーガールが歩むのは「自己発見と責任を引き受けることについての物語」と語っており、その通りの彼女の成長のドラマが大きな見どころになっているのです。

また、ギレスピー監督は表向きには悲惨だったり引いてしまうような題材やキャラクターを扱いながらも、その描き方はどこかユーモラスかつポップで、端的に言えば「重くなりすぎない」軽妙さを持ち合わせている作家でもあります。
スーパーガール
(C) & TM DC (C) 2026 WBEI
今回の「やさぐれているようで、それだけじゃない」スーパーガールは、主演のミリー・オールコックが全身全霊で体現した魅力のみならず、ギレスピー監督の「不完全だからこそ愛おしい人間を描く」作家性があってこそ、輝いているようにも見えるのです。

4:『アクアマン』のジェイソン・モモアがノリノリでアンチヒーローを演じていた

本作の大きな目玉は、同じくDCコミック原作のヒーロー映画である『アクアマン』で主人公を演じたジェイソン・モモアが「ロボ」という豪放磊落(ごうほうらいらく)なキャラクターを演じていることでしょう。
そのロボの「威圧的な刺青だらけの肉体と、圧倒的な怪力を武器に標的を捕らえ、報酬を手にする冷酷な賞金稼ぎ」かつ「凶暴な空飛ぶバイク“スペースホグ”で地上と空を縦横無尽に駆け巡る」という特徴はインパクトが抜群でした。

実は、モモア自身はずっとロボ役を熱望しており、「善にも悪にもなれる、自分なりの掟に従って生きる“アンチヒーロー”が大好き」「根底にあるサムライのような精神があるし、ドレッドヘアも好きだし、バイクも好きだし、汚い言葉遣いも好き」「彼のすべてが下品で粗野で、誰の顔だろうと平気で殴りつけて乱闘に飛び込むところも大好き」と実に楽しそうに語っていたのだとか
そのコメント以上に、実際の劇中でもモモアはめちゃくちゃなキャラクターを本当に楽しそうに演じており、「アクアマンと全然違うやんけ!」とツッコミたくなりつつも、「もうあなたがそんなに幸せならそれでいいよ!」と全肯定もしたくなってくるのです。

ちなみに、復讐を誓う少女を演じたイヴ・リドリーは、共演したモモアについて「本当に優しい人でもあります。例えば首を絞めるシーンでは、彼のグローブの刃がわたしに当たっていないか、いつも気にかけてくれていました(笑)」と語っていました。破天荒にもほどがあるキャラクターを演じながらも、実際のモモアはやはりヒーロー的に良い人なんだと思いながら見るといいでしょう。
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賛否両論に納得できる難点も
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