コツ3:「いつもの声」で読むことで、子どもの想像力につながる
役になりきって、感情たっぷりに演じる必要はありません。昔ばなしは、細部を語らない「抽象文芸」。鬼がドスを聞かせた声で話し、お姫様が甲高い声で語ると、物語のイメージが子どもの中で固定されてしまい、頭の中で自由に描く想像の余地を奪ってしまいます。
「大切なのは、声で子どもを抱っこすること。いつもの声で読んであげてください」
親が子育てと仕事に疲れてイライラしているときには、昔ばなしという平面的な語りに身を任せてみましょう。親自身の情緒が安定します。現実はボロボロで動けない状態でも、物語の主人公が子どもたちと旅に出て楽しませてくれるからです。
親の情緒の安定は、心理学研究でも認められているほど大切です。
「昔ばなしで親が癒され、安定することは、子どもに手渡せる何よりの教育であり、プレゼントです」
コツ4:残酷さと残忍さの違いを知ろう
『かちかち山』では、おばあさんがタヌキに殺され、『ヘンゼルとグレーテル』では、子どもが親に捨てられます。最近の絵本は、こういった残酷な場面をマイルドに書き換えたものが増えてきました。「親が先回りして、残酷さを隠さないで」と沼賀さん。「昔ばなしの残酷さは、子どもが不確実な世界を生き抜くための心の免疫になるから」といいます。
大事なのは、人生には理不尽なことがあるという「残酷さ」と、その痛みを生々しく描く「残忍さ」の違いを理解すること。昔ばなしに残酷さはあっても、残忍さはないのです。子どもは物語を通して、怖いことや理不尽な目に遭う疑似体験をたっぷりと味わいます。



