新宿東口の巨大猫、モデルは「24歳まで生きた愛猫」だった。デジタルの中に息づく“ナツコ”の奇跡

新宿駅東口の大型ビジョンに現れ、世界中の人々を驚かせた「新宿東口の猫」。その堂々たる姿の裏には、24年近くを我が道のままに生きた一匹の三毛猫がいました。猫が街と人をつなぐ……そんな奇跡の原点をたどります。

画像出典:『猫は奇跡』(佐竹茉莉子・著/辰巳出版)
「新宿東口の猫」の巨大スクリーン ※画像出典:『猫は奇跡』(佐竹茉莉子・著/辰巳出版)

新宿駅東口の大型ビジョンに映し出される、あの巨大な三毛猫をご存じでしょうか。ビルの上で寝転び、ときにこちらをじっと見つめる3D映像の「新宿東口の猫」は、2021年の登場以来、街の風景として多くの人に親しまれてきました。

そして今、2026年には隣接地に新たな大型ビジョンの開業も予定されるなど、その存在はこれからも進化を続けていきます。

本記事では、『猫は奇跡』(佐竹茉莉子・著/辰巳出版)より一部抜粋し、この巨大猫のイメージモデルとなった実在の三毛猫・ナツコの生き方を紹介します。

「新宿東口の猫」のイメージモデルとなったメス猫「ナツコ」

2021年7月、新宿駅東口を出てすぐのクロス新宿ビル4階に突如住み着いた巨大な3Dの三毛猫は、そのインパクトで、たちまち全世界の有名猫に。

東口の猫のイメージモデルとなったのは、「ナツコ」というわが道を行く三毛猫だった。

ナツコとは、いったいどんな猫だったのか……。

新宿に巨大三毛猫あらわる

「新宿東口の猫」の住むクロススペースは、新宿駅東口を出てすぐの交差点前の広場の正面にある。時間をおかず何度も猫が登場するから、信号待ちの人々は、みな口元を緩めてビルを見上げ、スマホで撮影する人も多い。

濃い三毛柄の猫は、意志の強い顔立ちをしていて、勝手に猫語で話しかけたり、ゴロンゴロンしたり、大画面から今にも飛び出しそうにして、まったりと暮らしている。

不敵さと愛嬌を併せ持ち、2021年7月の華々しい初登場以来、会いに行く人が絶えない人気者だ。

生まれたきっかけは“おまけ案”だった

オスの三毛猫という設定だが、名前はない。彼は、メディアアーティストの山本信一さんによって生み出され、世に送り出された。

「街頭ビジョンのプロジェクトは、東口地区の活性化を目的とするためのクロス新宿ビルからのオーダーでした。6案出しました。岩に打ちつける雨などのアート系に加えて、手描きの猫も滑り込ませたんです」と、山本さん。

いわば「おまけ案」だった、その猫案が「面白い」と採用された。

さまざまな猫での作画が何ヶ月も繰り返される。だが、どの猫も山本さんにはピンとこない。そこに住んでいるという存在感をもっと強く打ち出したかった。

だが、「こんな猫」というニュアンスは言葉ではCGデザイナーには伝わりにくく、「では、理想の猫はこれだと、提示してください」と返された。

猫好きの山本さんは、以前からいろいろな猫の写真をSNS で見まくっていたのだが、街頭ビジョンの猫制作にあたり、来る日も来る日もSNS の猫写真を見まくる日々が数ヶ月続く。

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人を食った表情でほくそ笑む猫…すべてを決めた”あの一枚”とは?
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