コタツの中の猫は「長い」。靴下を嗅いで真顔でフリーズされる僕が、猫の“下僕”を辞められない理由

猫のしぐさに意味を見出そうとしては、ことごとく裏切られる。脱ぎ捨てた靴下への「あきれ顔」や、昨日の好物を無視する気まぐれ……。そんな猫と人間の愛おしいすれ違いを、書籍『猫のいる家に帰りたい』より抜粋し、短歌とエッセイで紹介します。

画像出典:『猫のいる家に帰りたい』(仁尾智・著、小泉さよ・イラスト/辰巳出版)
画像出典:『猫のいる家に帰りたい』(仁尾智・著、小泉さよ・イラスト/辰巳出版)

猫の行動を見ていて、「きっとこういう理由だろう」と考えてしまうことがあります。でも、その読み、たいてい外れませんか? こちらが一生懸命に意味を探しているあいだも、猫は何事もなかったかのように振る舞うだけ……。

例えば、脱ぎ捨てた靴下の匂いを嗅いだあとの「あきれ顔」。あれ、本当は何を考えているのでしょう?

本記事では、そんな人間の思惑を軽やかに裏切ってくる猫との日常を、『猫のいる家に帰りたい』(仁尾智・著、小泉さよ・イラスト/辰巳出版)より一部抜粋し、短歌とエッセイで紹介します。

靴下を嗅いで、マジか……。猫が見せる、“あきれ顔”の正体

猫までも僕をあきれた顔で見る
脱ぎ捨てられた靴下の前

猫は笑っているような顔をすることがある。

寝ているときが多いので、見かけると(いい夢を見ているのだろうな)と思う。実際には笑ったりしないのだろうけれど、そう見えるのだ。

そういうことは割とよくある。

例えば、猫は食事の途中で、まだエサが入っている皿のそばを盛んに前脚で掻くしぐさをする。これは「こんなマズいメシにはもう飽き飽きだ!」という抗議のように見える。

実際には「あとで食べるために隠しておこう」と、エサを砂で隠す行為らしい。そうだとわかっていても、我が家で「カシカシ」と呼ぶこのしぐさは、案外心にくる。(いらないなら食べなくていいよーだ)などと思ってしまう。

また、猫は未知の匂いを嗅いだとき、ポカンと口を半開きにすることがある。フレーメン反応というらしい。せわしなく匂いを嗅いだと思ったら、急に真顔になって口を開け、しばらく静止する。

これも自分の靴下などの匂いを嗅がれたあとにやられると、ダメージが大きい。猫に「マジか……」とあきれ顔をされているようで、こっちが「マジか……」と言いたい気持ちになる。

猫はなんとも思っていないのに、猫を見る僕の心は、かくも騒々しい。

「猫はコタツで丸くなる」は嘘だった?

この家で観測してきた限りでは
猫はコタツで丸くならない

そろそろコタツの季節である。

毎年、我が家のコタツが稼働し始めると、朝八時にコタツの中の様子を写真や動画に撮って、ツイッターというSNSにアップしている。そんなことを、もう六シーズンも続けている。

我ながらよくわからない持続力だけれど、昨シーズン辺りから僕以外にも、自分の家のコタツでくつろぐ猫の様子をアップしてくれる方が増えてきて、なかなか楽しい。(ちなみにハッシュタグは「#ネコタツ」。みなさん、奮ってご参加ください)

そして、さすがに毎朝見ていると気づくのだ。猫がコタツの中では丸くならないことに。コタツの中の猫は、むしろ長い。

だからずっと「あの童謡の作詞者は、猫を飼っておらず、想像で書いたのでは?」と思っていた……が、違った。

当時のコタツは火鉢などの周りに木製の櫓やぐらを組み、その上に布団を掛ける方式で、かつ天板がなかったらしい。猫はそのコタツの「中」ではなく、「上」で丸くなって暖を取っていた、というのだ。衝撃。

作詞者(不詳らしい)の方にはあらぬ疑いをかけて大変申し訳なかった。でも百年以上前の人々も、コタツの上で丸くなった猫を愛でていたのだ、と思うと、微笑ましくもなった。

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「気づかなくて悪かった」と反省した翌日の悲劇…猫の“気まぐれ”に翻弄される配膳係の宿命
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