愛猫を描こうとして、真っ先に「目」から描き始めていませんか? 実は「目が似ない」「顔が全然違う」と悩んでしまうのは、描き順のせいかもしれません。
猫を描き続けて20年。イラストレーターの小泉さよさんが、描き始めに最初に見るのは意外にも「耳」だといいます。
どこから筆を入れ、どう「うちの子らしさ」を捉えればいいのか。書籍『ねこの描き方れんしゅう帖』(日東書院本社)の著者に、初心者でも「描けた!」を実感しやすくなる、猫へのまなざしの向け方を聞きました。
プロが教える、全体のバランスが崩れない描き順
——描き始める場所1つで、全体の印象は大きく変わります。猫を描くとき、一番初めに見るポイントはどこですか?
小泉さん「わたしの場合は耳を最初に見ます。耳の位置や間隔を決めて顔、胴体と進んでいくことが多いですが、全身を描くときは、紙のサイズに応じて全体の大きさ、頭の位置と大きさ、尻尾が入り切るかなどをおおまかに決めてから、やはり耳から描き始めています」
——初心者がやりがちな「つまずきポイント」はどこでしょうか?
小泉さん「見ていて思うのは、頭、胴体、と分割して描いてしまうことが多い気がします。頭と胴体が(全身が)つながっているという感覚が忘れられがちという感じでしょうか。頭や手足が胴体とつながって付いている意識が持てるとよいかもしれません。全身のつながりを大事に、と思います」
「うちの子」に似ないのはなぜ?
——似せようとするほど似なくなる。多くの人がつまずく難所だと思いますが、「顔が似ない」「うちの子となんか違う……」と感じたとき、見直すポイントはどこなのでしょうか?
小泉さん「うちの子を描きたい、似せたいと思って描きますが、すごく難しいですよね。わたしも難しいです。よく見て描くのはもちろんですが、その子に持っているイメージ(『丸々していてかわいい』『猫なのに垂れ目っぽい』『シャープなイメージ』などなど)を思い起こして、その子の特徴的なところを少しデフォルメ気味にするといいかもしれません」
初めの一歩は「丸くなって寝ている猫」から
——動いている猫を描くときのコツはありますか?
小泉さん「クロッキーをたくさんするのがおすすめです。動いてしまった線や失敗した線も消さずに重ねて、3〜5分くらいで1枚くらいのスピード感で描いていきます。何枚も練習して描いて、もし作品に仕上げたいときは、そのクロッキーを見ながら線を整えていくと動きのある猫も描けるようになると思います」
——寝ている猫、香箱座りの猫などの中で、初心者が最初に「うまく描けた!」を味わいやすいポーズは?
小泉さん「じっとしている猫がやはり描きやすいのでおすすめです。香箱座りもいいですが、脚をしまっていて文字通り箱みないなのでちょっと難しいかもしれません。一番おすすめは寝ている猫だと思います。ただ寝相次第ではすごく難しくなってしまうので、手足がどうなっているのか分からないような複雑なかたちではなく、丸くなって寝ているなどの単純で分かりやすいポーズがいいと思います」
——写真と実物、どちらを見るのがおすすめですか?
小泉さん「実物を描くのが一番いいですが、やっぱりなかなか難しくて抵抗があるかもしれないので、写真を見て描くのでも全然いいと思います。その場合は写真選びが重要です。分かりにくいポーズより、分かりやすく猫らしいポーズの写真を選ぶといいです」
——実物と写真、それぞれのメリット・デメリットはありますか?
小泉さん「実物を描くメリットは、何より練習になることです。クロッキーは特におすすめです。デメリットは、はじめは難しい、上達に時間がかかる、手軽に描けない、などでしょうか。写真を描くメリットは、手軽に取り組める、じっくり取り組める、お気に入りの写真を絵にできる、など。デメリットは、アウトラインを意識しす過ぎて線が硬くなってしまう、身体のかたちへの意識が薄まってしまう、などかと思います」
——無理なく続けられる方法を選ぶこと。それもまた、猫と長く付き合うための大切な工夫ですね。
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この書籍の執筆者:小泉さよ プロフィール
東京都生まれ。おもに猫を描くフリーイラストレーター。東京芸術大学卒業、同大学院修了。著書に『猫ぱんち―二匹の猫との暮らし―』『和の暮らし』『もっと猫と仲良くなろう!』『さよなら、ちょうじろう。』『うちの猫を描こう!』など、共著に『猫のいる家に帰りたい』など。
公式サイトhttps://www.sayokoizumi.com



