ヒナタカの雑食系映画論 第108回

『魔女の宅急便』のマックのCMにそっくり? 映画『化け猫あんずちゃん』のかわいいだけじゃない魅力

7月19日から上映中の、日本とフランスの合作によるアニメ映画『化け猫あんずちゃん』。「ロトスコープ」による独特の魅力と、『魔女の宅急便』との意外な共通点も記しましょう。(※サムネイル画像出典:(C)いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会)

アクションもすごい活劇も展開して大満足!

『化け猫あんずちゃん』はほのぼのとした日常描写や、ダメ中年と孤独な少女が出会ってこその「ほんのちょっぴりの成長物語」が大きな魅力というわけですが、さらに終盤の「アクションの大見せ場」も大きな魅力です。
化け猫あんずちゃん
(C)いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会
本作でキャラクターの動きを描いたのは、『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』で知られるほか、直近では2023年のアニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』も絶賛された日本のスタジオ・シンエイ動画(背景美術と色彩を担ったのはフランスのMiyu Productions)。終盤のアクションの迫力はそのものずばり、『劇場版クレヨンしんちゃん』の躍動感を連想させました。
化け猫あんずちゃん
(C)いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会
そして、その活劇があってこそ、「死んだ母親に会いたい」と願うかりんの年相応の寂しさや健気さも、より強く伝わるようになっています。大切な人を亡くしてしまった「喪失感」に向き合う物語にはとてつもない優しさを感じましたし、それをもってのかりんの「選択」にも大きな感動があったのです。

『化け猫あんずちゃん』は、全体的にはいい意味で「ゆるい」雰囲気があり、それこそが心地良い作品です。同時に、何気ないセリフや行動が伏線として回収されたりする、実は計算し尽くされた物語になっていることも称賛するしかありません。94分と上映時間は短めながら、その全ての瞬間がいとおしいとさえ思えました
化け猫あんずちゃん
(C)いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会
最後に余談ですが、本作はやはりロトスコープによる「もともとは実写だけど、かわいらしくて親しみやすいアニメに落とし込まれた俳優たちの演技」が大きな魅力。あんずちゃん役の森山未來、かりん役の五藤希愛が素晴らしい表現力を見せていることはもちろん、他の豪華俳優陣の実写からアニメへの「変わりっぷり(または印象そのまま)」もまた楽しいのです。

そのキャスティングをあらかじめ知って見てももちろんいいですが、知らないまま見て鑑賞後に「あのキャラってあの人だったんだ!」と驚いてみるのも、いいかもしれませんよ。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
最初から読む
 
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • どうする学校?どうなの保護者?

    「まだ体育館で軟禁されてるの?」役員決めを廃止したPTA、保護者と先生が手にした“穏やかな春”

  • ヒナタカの雑食系映画論

    映画『鬼の花嫁』で永瀬廉が体現する「俺様ではない魅力」とは。『シンデレラ』的物語へのアンチテーゼも

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    江ノ電20年ぶり新車、謎の「1人掛け席」の正体は? 観光サービスではなく「混雑地獄」に挑む苦肉の策

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    「移民」に冷たいのはどっちなのか? スイスの厳格過ぎる学歴選別と、日本の曖昧過ぎる外国人政策